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肝斑(かんぱん)

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肝斑について

「あれ?このシミが前より濃くなってない?」 鏡を見ていて、そう不安になることはありませんか? それは、30代から60代の女性に多い “肝斑(かんぱん)” かもしれません。
肝斑は顔の左右対称に現れる、ぼんやりとしたシミです。 紫外線やホルモンバランスの影響で発生しやすく、一度できるとなかなか消えにくいのが特徴です。肝斑はシミの中でも診断や治療が難しいです。経験豊富な医師のいる信頼できるクリニックを選びましょう。

肝斑の原因と症状

肝斑の3つの特徴

肝斑は、他のシミとは異なる特徴があります。3つのポイントを押さえておきましょう。

1. 左右対称に現れる
肝斑は、顔の左右対称に現れることが多いのが特徴です。例えば、右の頬骨の上に肝斑ができたら、左の頬骨の上にもほぼ同じように肝斑が出現します。

2. 境界線がぼやけている
他のシミと比べて、境界線がぼやけているのも特徴です。シミの縁がはっきりせず、周囲の肌の色と徐々に濃淡が変わっていくように見えます。輪郭がはっきりしているほくろやそばかすとは異なり、濃淡が曖昧な印象です。

3. 色が薄い
肝斑の色は、一般的に茶褐色で、他のシミと比べると薄く感じられることが多いです。濃くはっきりとしたシミを想像していると、少し意外に思われるかもしれません。「薄いシミだから、放っておいても大丈夫だろう」と安易に考えてしまいがちですが、実は、肝斑は適切な治療を行わないと、次第に濃くなったり、範囲が広がったりする可能性があります。

肝斑ができやすい場所

肝斑は、顔の中でも特に以下の場所にできやすい傾向があります。

・頬骨の上
頬骨の上あたりに、左右対称に現れることが多いです。マスクで隠れるからと安心していると、マスクを外した時に、肝斑が濃くなっていてがっかりしてしまうかもしれません。
・額
額全体にぼんやりと広がるように現れることもあります。おでこを出すヘアスタイルをすると、肝斑が目立ってしまうのではないかと心配される患者さんもいらっしゃいます。
・口の周り
上唇のあたりや、あごに向かってぼんやりと広がることがあります。マスク生活で摩擦が増え、口の周りの肝斑が悪化してしまったというケースも少なくありません。

肝斑と他のシミとの違い

肝斑と似たようなシミは他にもありますが、それぞれ原因や特徴が異なります。
シミの種類 原因 特徴
肝斑
そばかす
日焼けによるシミ
老人性色素斑

例えば、そばかすは、鼻の上にできることが多いですよね。小さくて丸い形をしていて、色は茶色や黒っぽいのが特徴です。一方、日焼けによるシミは、顔だけでなく、腕や肩など、日に当たりやすい場所にできることが多いです。形も大きさもさまざまで、色は肝斑よりも濃く、黒っぽいことが多いです。このように、シミには様々な種類があり、その原因や特徴によって治療法も異なります。自己判断でケアするのではなく、皮膚科専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

肝斑になりやすい人の特徴

肝斑は、誰にでもできる可能性がありますが、特に以下のような人は肝斑ができやすいと言われています。

・女性ホルモンの影響を受けやすい時期の女性
妊娠中や出産後、ピルの服用中などは、女性ホルモンのバランスが乱れやすいため、肝斑ができやすい時期と言われています。実際に、私のクリニックでも、妊娠中に肝斑が悪化してしまったという相談を受けることが多くあります。
・紫外線を多く浴びる人
紫外線は、メラニン色素を生成する原因となります。そのため、屋外での活動が多い人や、日焼け止めをこまめに塗らない人は、肝斑ができやすい傾向があります。たとえ曇りの日でも、紫外線は降り注いでいます。紫外線対策は一年を通して行うことが大切です。
・摩擦が多いスキンケアをしている人
肌への摩擦は、メラニン色素の生成を促進する可能性があります。ゴシゴシと強く洗顔したり、タオルでゴシゴシと顔を拭いたりする習慣がある人は、注意が必要です。肌は、摩擦などの刺激を受けると、自身を守るためにメラニン色素を生成します。肝斑を予防するためには、優しく丁寧にスキンケアを行うように心がけましょう。

肝斑を悪化させる要因

肝斑は、一度できてしまうとなかなか消えにくいシミです。肝斑を悪化させないためにも、以下の要因には注意が必要です。

・紫外線: 紫外線は肝斑を悪化させる最大の原因です。日焼け止めをこまめに塗ったり、帽子や日傘などで紫外線対策をすることが大切です。肝斑治療においては、皮膚バリアの損傷と血管新生を刺激するのを避けることが重要となります。紫外線を浴びすぎると、皮膚バリアが破壊され、肌の水分が蒸発しやすくなってしまいます。その結果、肌は乾燥し、外部からの刺激を受けやすくなってしまいます。

・摩擦: 肌への摩擦も、肝斑を悪化させる原因となります。洗顔やスキンケアの際には、ゴシゴシとこすらず、優しく扱うようにしましょう。洗顔料をよく泡立ててから優しく洗い、洗顔後はタオルでゴシゴシと拭かずに、優しく押さえるようにして水分を拭き取りましょう。スキンケアアイテムも、肌に摩擦を与えにくいものを選ぶことが大切です。

肝斑治療におすすめのニードルRFとは?

肝斑は、トランサミン内服や外用が行われることが多いですが、十分な治療効果が得られない方もたくさんいらっしゃいます。また従来のレーザー治療では治療が難しいのが特徴です。レーザーの熱が刺激になり、肝斑をかえって悪化させてしまうためです。しかし、諦めるのはまだ早いです。ニードルRF治療という新しい治療法は、肝斑に効果が期待できる治療法として注目されています。

ニードルRFの仕組みと効果

ニードルRF治療とは、細い針がついた機械を肌に当てて、ラジオ波という電磁波を照射する治療法です。肌の表面に極力ダメージを与えずに、肌の奥深くにある真皮と呼ばれる部分に直接熱エネルギーを届けることができるので、コラーゲン生成を促し、肌のハリや弾力をアップさせる効果があります。肌の基底層の乱れが修復され、肝斑やくすみ、肌のトーンアップが期待できます。

つまり、ニードルRFは、肌の奥から肌質を改善していく治療です。従来のレーザー治療は肌の表面からのアプローチなため、新らしいアプローチとなります。加齢や紫外線などの影響で、私たちの肌に本来備わっている、みずみずしくハリのある肌を保つ力が徐々に失われていきます。ニードルRFは、皮膚の奥へピンポイントで熱エネルギーを与えることで、肌本来の再生力を引き出すことができるのです。

ニードルRFが肝斑治療に効果的な理由

ニードルRF治療は、肝斑の原因であるメラノサイト(メラニン色素を作る細胞)に直接アプローチすることができます。
メラノサイトは、表皮と真皮の間にある基底層という場所に存在していますが、ニードルRF治療では、針を刺す深さを調整することで、基底層のメラノサイトにピンポイントで熱エネルギーを与えることができます。
当院ではシルファームXという、肝斑治療に適したニードルRFを採用しています。
シルファームXでは0.3mmという針が刺さっているか刺さっていないか、分からないほどの非常に浅い深さでの治療が可能となります。この0.3mmの深さ基底層へのアプローチで最適であると当院では考えています。0.3mmの深さですと、痛み少なく、ダウンタイムもほぼない、肌に優しい治療が可能となります。
ニードルRF治療を受けた患者さんからは、「治療中の痛みはほとんど感じなかった」「赤みも数時間で引いたので、翌日から普段通りの生活を送ることができた」という声をいただいています。

シルファームX
シルファーム症例(肝斑治療3回)
シルファーム症例
シルファーム症例

治療の流れとダウンタイム

step1
カウンセリング
まずは、医師によるカウンセリングを受け、肝斑の状態や治療に関する希望などを伝えます。
step2
麻酔
必要な方は、麻酔クリームを塗布し、痛みを軽減します。
step3
照射
ニードルRF治療器を肌に当て、ラジオ波を照射していきます。
治療時間は、範囲や部位にもよりますが、約30分程度です。
step4
ダウンタイム
治療後、個人差はありますが、数時間程度赤みや腫れが出る場合がありますが、多くの場合、翌日からメイクも可能です。

治療費用と注意点

両頬全体
¥19,800
顔全体
¥29,800
【治療のリスク】
針の深さによっても変わりますが、赤み、出血、疼痛、かさぶた、皮下出血、にきびの悪化、やけど、腫れ、場合によって肝斑の悪化、白斑

肝斑を改善する日常生活のポイント

肝斑は、一度できてしまうとなかなか消えにくいシミですが、日常生活の中で少し意識を変えるだけで、予防したり、症状を改善したりできる可能性があります。
毎日鏡を見るたびに「また濃くなったかも…」と憂鬱な気持ちになる前に、できることから始めてみませんか?

紫外線対策のススメ

紫外線は、シミの原因となるメラニン色素を作らせるだけでなく、肌の老化を早める最大の要因の一つです。「紫外線=夏」と思いがちですが、実は紫外線は一年中降り注いでいます。曇りの日でも、晴れの日の60~80%もの紫外線が降り注いでいることをご存知ですか?
紫外線から肌を守る「皮膚バリア」は、例えるなら家の屋根のようなもの。紫外線を浴び続けると、この屋根が傷ついてしまい、肌内部に紫外線が侵入しやすくなってしまいます。屋根が傷ついた家に住み続けると、雨漏りがしたり、家の寿命が縮んだりするのと同じように、傷ついた皮膚バリアでは、様々な肌トラブルを引き起こしやすくなってしまいます。

肝斑対策として、日焼け止めは一年中、毎日欠かさずに塗りましょう。

日焼け止めはこまめに塗り直すことが重要です。汗をかいたり、タオルで顔を拭いた後などは、こまめに塗り直すようにしましょう。また、日傘や帽子、サングラスなども活用し、紫外線から肌を守るように心がけましょう。

紫外線対策

摩擦を避けるスキンケア

肌への摩擦は、肝斑を悪化させるだけでなく、肌への負担となり、様々な肌トラブルの原因となります。摩擦によって肌に刺激が加わると、肌は自分自身を守るためにメラニン色素を生成し、肝斑を悪化させてしまいます。

洗顔をする時は、ゴシゴシとこすらず、泡で優しく包み込むように洗いましょう。洗顔料をしっかりと泡立て、肌に直接触れないように優しく洗うことが大切です。洗顔後は、タオルでゴシゴシとこすらずに、優しく押さえるようにして水分を拭き取りましょう。

スキンケアアイテムを選ぶ際にも、摩擦を起こしにくいものを選ぶことが大切です。

スキンケア

まとめ

肝斑は30代から60代の女性に多く見られる、左右対称に現れる薄いシミです。
紫外線、ホルモンバランスの乱れ、摩擦などが原因で悪化し、一度できると消えにくいのが特徴です。
ニードルRF治療は、肌への負担が少なく効果が期待できる治療法として注目されています。
セルフケアでは、紫外線対策、摩擦を避けたスキンケアを心がけましょう。

参考文献
• Cassiano DP, Espósito ACC, Hassun KM, Lima MMDA, Lima EVA, Miot LDB, Miot HA and Bagatin E. “Histological changes in facial melasma after treatment with triple combination cream with or without oral tranexamic acid and/or microneedling: A randomised clinical trial.” Indian journal of dermatology, venereology and leprology 88, no. 6 (2022): 761-770.
追加情報
[title]: Histological changes in facial melasma after treatment with triple combination cream with or without oral tranexamic acid and/or microneedling: A randomised clinical trial.,
[summary]: ## 【タイトル】 トリプルコンビネーションクリーム、経口トラネキサム酸、またはマイクロニードリングの併用による顔面肝斑の治療後の組織学的変化: ランダム化臨床試験
【要約】
• 本研究では、肝斑の治療における、トリプルコンビネーションクリーム単独、マイクロニードリング併用、経口トラネキサム酸併用、または両方を併用した際の組織学的変化を評価した。
• 64人の女性を対象に、4群に分け、60日間、トリプルコンビネーションクリーム単独(対照群)、マイクロニードリング併用(マイクロニードリング群)、トラネキサム酸併用(トラネキサム酸群)、またはトラネキサム酸とマイクロニードリング併用(トラネキサム酸とマイクロニードリング併用群)の治療を行った。
• 表皮メラニン密度は、すべての群で24%減少した。
• 皮膚メラニン密度やメラノサイト面積は、治療後も変化しなかった。
• ペンデュラムメラノサイト数は、すべての群で25%減少した。特に、マイクロニードリング群とトラネキサム酸群では、41%の減少がみられた。
• 無傷の基底膜ゾーンに対する無傷の基底膜ゾーンの延長は、治療後に減少した。特に、マイクロニードリング群とトラネキサム酸とマイクロニードリング併用群で顕著だった。
• 表皮の厚さはすべての群で13%増加し、表皮角質層の厚さは6%減少した。
• すべての群で表皮角質層の密度は高くなった。
• 太陽弾性線維症は、マイクロニードリング群とトラネキサム酸とマイクロニードリング併用群のみで改善が見られた。
• 血管内皮増殖因子免疫染色度は、すべての群で14%増加した。
• 幹細胞因子免疫染色度は、マイクロニードリング群のみで増加した。
• マスト細胞数、CD34、ケラチノサイト増殖因子免疫染色度は変化しなかった。
• 肝斑の漂白には、表皮の厚さがより重要である。
• 皮膚メラニンは、肝斑の予後には影響しない。
• 肝斑の治療においては、皮膚バリアの損傷と血管新生を刺激するのを避けるべきである。
• マイクロニードリングは、表皮の光老化パターンを改善することで、肝斑の局所治療を補完する。
• 経口トラネキサム酸は、幹細胞因子を阻害することで、肝斑の局所治療を補完する。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35389028,
[quote_source]: Cassiano DP, Espósito ACC, Hassun KM, Lima MMDA, Lima EVA, Miot LDB, Miot HA and Bagatin E. “Histological changes in facial melasma after treatment with triple combination cream with or without oral tranexamic acid and/or microneedling: A randomised clinical trial.” Indian journal of dermatology, venereology and leprology 88, no. 6 (2022): 761-770.

株式会社Medrock様に記事の作成協力いただきました。
by Medrock

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