岩倉きぼうクリニック

蕁麻疹(じんましん)

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丸 蕁麻疹(じんましん)

突然、皮膚に強いかゆみを伴う発疹が現れて困った経験はありませんか?それは「じんましん」かもしれません。多くの方が一度は経験する身近な皮膚トラブルですが、皮膚が赤く盛り上がり数時間で跡形もなく消えるその症状は、時に日常生活に大きな影響を及ぼします。

このやっかいなじんましんには、アレルギー、ストレス、物理的刺激など多岐にわたる原因があり、中には6週間以上症状が続く「慢性じんましん」に移行するケースも少なくありません。特に、慢性じんましんの約7割は原因不明とも言われており、適切な診断と治療が不可欠です。

じんましんが起こる原因から種類、早く治すための具体的な治療法、そして日常ケアまで、皮膚科専門医の視点から詳しく解説します。つらい症状から解放され、快適な毎日を取り戻しましょう。

じんましんの症状

じんましんとは?定義と症状の見分け方

じんましんとは、皮膚の一部が突然赤く盛り上がる「膨疹(ぼうしん)」という症状を指します。多くの場合、非常に強いかゆみを伴います。この膨疹は、数十分から数時間で消えることが特徴です。そして、消えた後にはほとんど跡を残しません。じんましんは、皮膚のすぐ下の血管から水分が漏れ出すことで生じる一時的なむくみのようなものです。時に、皮膚の下の腫れである「血管浮腫」を伴うこともあります。

じんましんの主な症状は以下のとおりです。

  • 膨疹(ぼうしん)
    • 蚊に刺されたように、皮膚が赤くプツプツと盛り上がります。
    • 一つひとつの大きさや形はさまざまで、全身のどこにでも発生する可能性があります。
    • 通常、短時間で現れては消えるという特徴があります。
  • かゆみ
    • 膨疹と同時に、我慢できないほどの強いかゆみを伴うことがほとんどです。
    • 夜間にかゆみが強くなり、睡眠を妨げられることもあります。
  • 血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)
    • じんましんの中でも、皮膚の奥深くが腫れる症状を血管性浮腫と呼びます。
    • 通常の膨疹よりも腫れが大きく、痛みやチクチクとした不快感を伴うことがあります。
    • 特に唇、まぶた、目の周り、手足などに起こりやすい症状です。

じんましんかどうかを見分けるポイントは、膨疹が短時間で現れては消える一過性のものであること、そして強いかゆみを伴うことです。じんましんが人から人にうつることはありませんのでご安心ください。

急性・慢性だけじゃない!様々なじんましんの種類

じんましんは、症状が続く期間によって大きく「急性じんましん」と「慢性じんましん」に分類されます。この分類は、じんましんの診断と治療方針を決定する上で非常に重要です。

  • 急性じんましん
    • 症状が出始めてから6週間以内に治まるものを指します。
    • 感染症などの体調不良が原因であることが、意外に多く驚かれます。
  • 慢性じんましん
    • 症状が6週間以上続くものを指します。

慢性じんましんの詳しい分類

慢性じんましんには、原因がはっきりしないものと、特定の刺激で起こるものがあります。

  • 特発性じんましん
    • 特定の原因がなく、繰り返しじんましんの症状が現れるものです。
    • 約7割の慢性じんましんがこれに該当すると言われています。
    • ストレスや疲労が症状を悪化させる要因となることがあります。
  • 刺激誘発型じんましん
    • 特定の刺激によってじんましんの症状が引き起こされるものです。
    • 例えば、冷たいものに触れると膨疹が出る「寒冷じんましん」や、皮膚をひっかくことでみみず腫れができる「機械性じんましん(皮膚描記症)」などがあります。

慢性誘発型じんましんには、以下のような種類があります。

  • 物理性じんましん
    • 摩擦、圧迫、寒冷、温熱、日光などの物理的な刺激によって引き起こされます。
    • 冷水に触れると起こる寒冷じんましん、締め付けの強い衣類による圧迫じんましんなどが代表的です。
  • コリン性じんましん
    • 運動や入浴などで汗をかいたり、精神的ストレスで発汗したりした時に発生します。
    • 小さな膨疹とチクチクするようなかゆみが特徴です。
  • アレルギー性じんましん
    • 特定の食べ物や薬剤、昆虫の毒などがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、アレルギー反応としてじんましんが発生します。
  • 接触じんましん
    • 特定の物質(ゴム製品、植物、動物の毛など)が皮膚に触れることで、直接じんましんが起こります。
    • 例えば、ラテックスアレルギーを持つ方がゴム手袋に触れた際に発症することがあります。

このように、じんましんには多様な種類があり、それぞれに異なる特徴と原因があります。適切な診断には、どのタイプのじんましんであるかを見極めることが不可欠です。

これもじんましん?間違いやすい皮膚疾患との違い

  • じんましんの最も特徴的な症状は、皮膚が赤く盛り上がる「膨疹(ぼうしん)」が突然現れ、強いかゆみを伴い、数時間から24時間以内に跡を残さずに消えることです。しかし、皮膚にかゆみを伴う発疹は多種多様で、ご自身でじんましんと他の病気を見分けるのは非常に難しい場合があります。ここでは、特に間違いやすい皮膚疾患とその見分け方について、皮膚科専門医の視点から詳しく解説いたします。

じんましん 湿疹・アトピー性皮膚炎 薬疹
– 一時的な盛り上がり(膨疹) – 数分~数時間で出現し、跡を残さず消える
– 非常に強いかゆみ – 時に焼けるような感覚、チクチク感を伴う
– 赤み一つひとつは、数時間以内に消え、別の場所に移動する
– アレルギー、物理的刺激、ストレスなど多岐にわたる – 原因が特定できない「特発性」も多い
  • じんましんの最大の特徴は「一過性(いっかせい)」、つまり症状が短時間で現れては消えることです。もし発疹が同じ場所に数日以上留まるようであれば、じんましん以外の皮膚疾患である可能性を考慮する必要があります。

    また、じんましんは「血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)」という、皮膚のより深い部分や粘膜が腫れる症状を伴うことがあります。これは、通常のじんましんのような「蚊に刺されたような膨らみ」とは異なり、まぶたや唇が大きく腫れたり、手足がパンパンになったりするものです。特に注意が必要なのは、喉の奥や舌に血管性浮腫が現れた場合です。呼吸の通り道が腫れることで、息苦しさや嚥下(えんげ)困難を引き起こし、最悪の場合、命に関わる危険性もあります。このような症状が見られた際は、速やかに救急医療機関を受診してください。

    このように、見た目が似ていても、それぞれの疾患には異なる特徴があります。自己判断で対処せずに、まずは皮膚科専門医の診察を受け、正確な診断を得ることが大切です。

じんましんが出やすい生活習慣

  • ストレスと疲労
    • 睡眠不足や過労、精神的なストレスは、体の免疫機能や自律神経のバランスを崩します。
    • これがじんましんを悪化させる最大の要因の一つとなります。
    • ストレスは、心と体に大きな影響を与え、皮膚のバリア機能の低下にも繋がることがあります。
    • 意識的に休息を取り、ストレスをため込まない工夫が必要です。
  • 飲酒
    • アルコールは血管を拡張させ、かゆみを増強させ、じんましんを出やすくします。
    • 禁酒が難しい場合でも、量を減らすことから始めてみましょう。
  • 温度変化や物理的刺激
    • 熱いお風呂や冷たい風など、急激な温度変化は温熱じんましんや寒冷じんましんを誘発することがあります。
    • また、きつい下着や衣類による摩擦、長時間座り続けることによる圧迫なども物理性じんましんの原因となることがあります。
    • 入浴時のお湯の温度に注意したり、締め付けの少ない衣類を選んだりするなどの工夫が症状の軽減に役立ちます。

じんましんを早く治すための具体的な治療法

  • つらいかゆみと見た目の変化に、心も体も疲れていませんか。じんましんは、多くの方が経験する皮膚のトラブルです。しかし、適切な治療と日常の工夫で、その症状は必ずコントロールできます。私たちは皮膚科専門医として、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案します。ここでは、じんましんを早く治し、快適な毎日を取り戻すための具体的な治療法と、ご自宅でできるセルフケアのポイントを詳しくご紹介します。

じんましん治療の基本は「抗ヒスタミン薬」

  • じんましんの主な症状である強いかゆみや膨疹(ぼうしん)は、体内の「肥満細胞」から放出される「ヒスタミン」という化学物質が原因で引き起こされます。ヒスタミンは血管を広げ、血液中の水分が血管外へ漏れ出すのを促します。また、神経を刺激することで、我慢できないかゆみを生じさせます。このヒスタミンの働きを抑えることが、じんましん治療の最も重要なポイントです。

    じんましんの治療において中心となるのは、「抗ヒスタミン薬」と呼ばれる飲み薬です。この薬は、ヒスタミンが体の細胞にある「ヒスタミン受容体(ヒスタミンの受け皿)」と結合するのを妨げることで、かゆみや膨疹を抑える効果があります。

    抗ヒスタミン薬には、大きく分けて二つの世代があります。

    • 第一世代抗ヒスタミン薬
      • 比較的早い時期に開発された薬です。
      • 効果は高いものの、脳に移行しやすいため、眠気や口の渇きなどの副作用が出やすい傾向があります。
    • 第二世代抗ヒスタミン薬
      • 現在のじんましん治療の主流です。
      • 脳への移行が少ないように改良されており、眠気などの副作用が軽減されています。
      • 引用元Urticaria.の論文でも、急性および慢性蕁麻疹の治療の中心は、非鎮静性の第二世代ヒスタミン1型(H1)受容体拮抗薬であるとされています。

    当院では、患者さんの生活の質(QOL)を重視し、眠気などの副作用が少ない非鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬を優先的に処方しています。1日1回の服用で効果が持続するものも多く、症状の程度や患者さんの体質に合わせて最適な種類や量を皮膚科専門医が慎重に判断し処方します。

    薬の効果は、服用後すぐに実感できることもありますが、安定した効果を得るためには数日間飲み続けることが大切です。症状が落ち着いたからといって、ご自身の判断で服薬を中断してしまうと、じんましんが再発する可能性が高まります。必ず医師の指示に従い、計画的に治療を続けるようにしましょう。

症状が強い・治らない場合の治療選択肢

  • 標準的な量の抗ヒスタミン薬を服用してもじんましんの症状が十分に改善しない場合や、かゆみや腫れが非常に強く日常生活に支障をきたしている場合には、次のステップとして追加の治療法を検討します。

    まずは、処方されている第二世代抗ヒスタミン薬の量を増量することがよく行われます。日本のじんましん診療ガイドラインにおいても、標準量の2倍へ増量することが推奨されており、この対応で多くの方の症状が改善することが期待できます。私たち皮膚科医も、患者さんの状態を観察しながら慎重に増量を検討します。

    それでも症状が治まらない「難治性のじんましん」の場合や、より強力な効果が必要な場合には、以下のような治療選択肢があります。

    • ステロイド薬
      • 炎症を強力に抑える作用があるため、短期間であれば内服や点滴でじんましんの症状を速やかに鎮めることができます。
      • 特に症状が非常に強い急性期や、他の治療法で効果が見られない場合に一時的に使用します。
      • しかし、長期的な使用は、血糖値の上昇や骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)など様々な副作用のリスクがあるため、皮膚科専門医の判断のもと、必要最小限の期間と量で使用されます。
    • 生物学的製剤 ゾレア(オマリズマブ)
      • 慢性じんましん、特に既存の治療でコントロールが難しい「慢性特発性じんましん」に対して、近年非常に有効な選択肢として注目されている注射薬です。
      • オマリズマブは、体内でアレルギー反応を引き起こす中心的な役割を担う免疫グロブリンE(IgE)という物質の働きを抑える「モノクローナル抗免疫グロブリンE抗体」と呼ばれる薬です。
      • IgEの働きをブロックすることで、ヒスタミンの放出を抑制し、じんましんの症状を根本から改善へと導きます。
      • 引用元Urticaria.の論文でも、慢性蕁麻疹がコントロールできない場合の二次治療には、オマリズマブ(モノクローナル抗免疫グロブリンE[IgE]抗体)があるとされています。
      • 既存の治療薬では得られなかった高い効果が期待できるため、難治性のじんましんで長年お悩みの方にとって新たな希望となる治療法です。
    • 免疫抑制剤
      • ごく稀に、上記の治療でも効果が乏しい場合に検討されることがあります。
      • 免疫システムの過剰な反応を抑えることで、じんましんの症状をコントロールします。
      • こちらも副作用のリスクがあるため、皮膚科専門医が患者さんの全身状態を詳細に評価した上で、慎重に適応を判断します。

    これらの治療法は、じんましんの種類や重症度、患者さんの体質や持病、これまでの治療歴などを総合的に考慮し、皮膚科専門医が最適なものを選択します。私たち皮膚科医は、患者さんの状況に応じて最善の治療プランをご提案いたしますので、どうぞご安心ください。

ゾレア注射の写真

治療期間の目安と慢性化を防ぐポイント

  • 慢性化を防ぎ、症状の再発を抑えるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

    • 自己判断での服薬中止は避ける
      • 症状が落ち着いたからといって、ご自身の判断でお薬の服用をすぐに中止することは非常に危険です。
      • じんましんは、症状が目に見えなくなっても、体の中ではまだアレルギー反応がくすぶっていることがあります。
      • 薬を急に止めると、体内のヒスタミンが再び過剰に放出され、症状がぶり返したり、かえって悪化したりすることがあります。
      • 症状が安定した後も、医師の指示に従い、薬の量を少しずつ減らしていく「漸減(ぜんげん)」という方法で、慎重に治療を進めていくことが一般的です。
    • 治療目標を医師と共有する
      • 治療の最終的な目標は、症状がない状態を維持し、お薬の量を減らしていくことです。
      • ご自身のじんましんが急性なのか慢性なのか、どの程度の治療期間が必要なのかを皮膚科専門医とよく相談してください。
      • 納得して治療を継続することが、症状の改善と生活の質の向上につながります。
      • 定期的な受診で症状の変化を伝え、医師とともに治療計画を調整していくことが大切です。

じんましんを悪化させないための日常ケア

  • じんましんの薬物治療の効果を最大限に高め、症状の悪化や再発を防ぐためには、日々の生活の中でのセルフケアも非常に重要です。普段の生活習慣を見直すことで、じんましんが出にくい体質を目指し、快適な毎日を送ることができます。

    • 皮膚への刺激を避ける
      • 入浴・シャワー
        • 熱すぎるお湯は血管を拡張させ、かゆみを増強させることがあります。
        • ぬるめのお湯(38℃前後)で短時間に入浴し、体をゴシゴシと強く洗いすぎないようにしましょう。
        • 石鹸は低刺激性のものを選び、泡で優しく洗うことが大切です。
      • 衣類
        • 締め付けの強い下着や、ウールなどのチクチクしやすい素材は皮膚を刺激し、じんましんを誘発することがあります。
        • 肌触りの良い綿やシルクなどの天然素材を選び、ゆったりとした服装を心がけましょう。
      • 保湿ケア
        • 皮膚の乾燥はバリア機能を低下させ、外部からの刺激を受けやすくし、かゆみを引き起こしやすくします。
        • 入浴後などには、乾燥する前に保湿剤でしっかりと肌を潤し、皮膚のバリア機能を保つことが重要です。
    • ストレス管理と十分な休養
      • 精神的なストレスや肉体的な疲労は、自律神経のバランスを崩し、じんましんを悪化させる大きな要因となります。
      • 十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送ることが大切です。
      • 趣味の時間やリラックスできる活動(軽い運動、読書、音楽鑑賞、アロマテラピーなど)を取り入れて、意識的にストレスをため込まない工夫をしましょう。
    • 食生活への配慮
      • 特定の食べ物がじんましんの原因となることもありますが、自己判断で極端な食事制限を行うのは避けてください。
      • 栄養の偏りが生じ、かえって体調を崩す可能性があります。
      • 原因と考えられる食べ物がある場合は、必ず皮膚科専門医と相談し、慎重に進めることが大切です。
      • アルコールや香辛料は血管を拡張させ、一時的にかゆみを増強させることがあります。体調に合わせて控えめにすることをおすすめします。
    • その他、日常生活での注意点
      • 紫外線対策
        • 日焼けは皮膚に大きな負担をかけ、じんましんを誘発したり悪化させたりすることがあります。
        • 外出時は日焼け止めを塗る、帽子をかぶる、日傘を使うなど、紫外線対策を心がけましょう。
      • 体調管理
        • 風邪などの感染症や、疲れがたまっている時にもじんましんが出やすくなることがあります。
        • 体調が悪いと感じたら無理せず休養を取り、体を労わるようにしましょう。

    これらの日常ケアは、お薬による治療と合わせて行うことで、より効果的にじんましんをコントロールし、症状の改善と快適な生活を送るための大きな助けとなります。ご自身のじんましんの症状や原因を理解し、適切なケアを継続していくことが大切です。

    じんましんの症状でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず、皮膚科専門医にご相談ください。北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市からもアクセス良好な岩倉市にある当院では、患者さんの症状と真摯に向き合い、最適な診断と治療を提供いたします。どうぞお気軽にご来院ください。

子供や妊娠中にじんましんが出た時の対処法

お子様や妊娠中にじんましんが出ると、ご本人だけでなくご家族も大きな不安を感じられることと思います。体質や状況が特殊なため、対処法にはそれぞれのケースに応じた特別な注意が必要です。

お子様のじんましんの場合: お子様のじんましんは、大人よりも比較的、原因が特定しやすい傾向にあります。風邪や胃腸炎といった感染症がきっかけとなることが非常に多く、また、特定の食べ物に対するアレルギー反応で発症することも少なくありません。強いかゆみで夜眠れなかったり、機嫌が悪くなったりすることは、お子様にとって大きな負担となります。

  • 対処法:
    • かき壊しを防ぐ: お子様はかゆみを我慢するのが難しいため、無意識にかき壊してしまうことがあります。爪を短く切る、寝る時に手袋をするなどの工夫で、皮膚のバリア機能が壊れるのを防ぎ、そこから細菌感染を起こす「とびひ」などを予防しましょう。
    • 原因を記録する: じんましんが出た前後の食事内容を簡単に記録しておくと、原因の特定に役立つことがあります。
    • 受診の目安: 症状が強い、全身に広がっている、呼吸が苦しそう、顔色が悪そうなど、普段と違う様子が見られたら、時間帯を問わず速やかに医療機関を受診してください。特に、喉が腫れて息苦しそうにしている場合はアナフィラキシーといって、緊急性が高いです。
    • 治療: お子様のじんましん治療の基本は、大人と同様に「抗ヒスタミン薬」の内服です。副作用が少なく、安全性が確認されている第二世代抗ヒスタミン薬を中心に、年齢や体重に合わせた適切な量を皮膚科専門医が慎重に処方します。

妊娠中のじんましんの場合: 妊娠中は、胎児への影響を考慮し、使用できる薬が非常に限られるため、自己判断で市販薬を使用することは絶対に避け、必ず医師に相談することが重要です。

  • 対処法:
    • 皮膚への刺激を避ける: 締め付けの強い衣類や下着は避け、ゆったりとした綿素材のものを着用しましょう。熱すぎるお風呂や長時間の入浴は血管を拡張させ、かゆみを増強させる可能性があるため、ぬるめのお湯で短時間に済ませるように心がけます。
    • 治療: 妊娠中でも安全性が比較的高く、使用が認められている抗ヒスタミン薬(かゆみを抑える飲み薬)やステロイド外用薬を、皮膚科専門医が慎重に選択し、適切に処方します。薬の選択肢は限られますが、症状を和らげ、快適に過ごせるよう最善を尽くします。

当院では、お子様や妊娠中の方のじんましんについても、それぞれの状況に合わせた専門的な知識に基づき、患者さんの不安を解消しながら最適な治療法をご提案しています。自己判断で症状を悪化させたり、不適切な対処をしたりしないよう、早めに皮膚科専門医にご相談ください。

市販薬で対処する際の注意点と医療機関を受診する目安

急なじんましんのかゆみに、まずは市販薬で対処したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。市販されているじんましんの薬の多くは、かゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑える「抗ヒスタミン薬(ヒスタミン1型受容体拮抗薬)」を主成分とします。これらの薬には、眠気を伴う「第一世代」と、眠気を起こしにくい「第二世代」があります。

市販薬を使用する際の注意点

  • 添付文書を必ず確認する: 用法・用量を守り、注意事項を熟読してください。特に、服用期間や対象年齢、他の薬との飲み合わせについては十分な注意が必要です。
  • 眠気の有無と生活への影響: 市販の抗ヒスタミン薬の中には、眠気を強く引き起こすものがあります。日中に服用する場合は、眠くなりにくい第二世代の薬を選ぶのがおすすめです。眠気が出やすいタイプを服用した際は、車の運転や危険を伴う作業は絶対に控える必要があります。
  • 長期的な使用は避ける: 自己判断で長期間市販薬を使用すると、症状が慢性化したり、隠れた病気を見過ごしたり、思わぬ副作用が出たりする可能性があります。数日使用しても症状が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診してください。

医療機関を受診する目安: 以下のような症状が見られる場合は、市販薬で様子を見ずに、速やかに医療機関を受診してください。これらのサインは、専門医による診断と治療が不可欠であることを示しています。

  • 症状が改善しない・悪化する: 市販薬を数日使用しても症状が良くならない、かゆみがひどくなる、発疹が広がる、新たな症状が出現する場合。
  • 全身症状を伴う: 発熱、倦怠感(けんたいかん:体のだるさ)、吐き気、腹痛、関節の痛み、頭痛などを伴う場合。これはじんましん以外の病気が原因である可能性や、より重篤なアレルギー反応が起きている可能性があります。
  • 血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)を伴う: まぶた、唇、顔、手足などが大きく腫れる血管性浮腫がみられる場合。特に、喉の奥が腫れて呼吸が苦しい、声が出しにくい、飲み込みにくいといった症状がある場合は、気道が閉塞(へいそく)し命に関わる危険性があるため、迷わず救急車を呼ぶか、緊急性の高い医療機関を受診してください。
  • 繰り返し出る・慢性化の懸念: じんましんが毎日、あるいはほぼ毎日、6週間以上にわたって出没する場合、それは「慢性じんましん」の可能性があります。慢性じんましんの治療は難しく、専門的な治療が必要となります。
  • 原因が特定できない: 明らかな誘因がわからず、不安を感じる場合や、特定の食べ物や薬剤との関連が疑われる場合。

当院では、急性および慢性蕁麻疹の治療の中心は、非鎮静性の第二世代ヒスタミン1型(H1)受容体拮抗薬であると考えています。市販薬も同じ成分を含むことがありますが、その方の病状に合わせた薬の種類や服用期間の調整は、皮膚科専門医にしかできません。症状を正確に診断し、最適な治療計画を立てるためにも、早めの受診をおすすめいたします。

北名古屋市・小牧市などからもアクセス良好!当院のじんましん診療

岩倉市にある当院は、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市など、近隣地域からも多数の患者さんがアクセスしやすい立地です。じんましんは、その症状が一時的であっても、強いかゆみや見た目の問題から、日常生活に大きな影響を及ぼし、時には不安やストレスの原因となることがあります。当院では、皮膚科専門医として、患者さん一人ひとりのじんましんへの、最適な治療計画をご提案しています。

当院のじんましん診療のポイント:

  • きめ細やかな治療薬の選択: 治療の基本は、副作用が少なく効果の高い第二世代抗ヒスタミン薬(ヒスタミン1型受容体拮抗薬)の内服です。私たちは、患者さんの生活の質(QOL)を重視し、眠気などの副作用が少ない薬を優先的に処方します。症状が強い場合や、既存の治療で効果が見られない難治性の慢性じんましんの場合には、標準量の2倍への増量を検討します。
  • 最新の治療選択肢の提供: 特に既存の治療でコントロールが難しい慢性じんましんに対しては、近年非常に有効な治療法として注目されている生物学的製剤「ゾレア(オマリズマブ)」の使用可能です。
  • エピペンの処方が可能: 当院ではアナフィラキシーの方が携帯する”エピペン”の処方が可能です。
じんましん・アナフィラキシーの治療で使うエピペン

よくある質問

Q. 「湿疹」と「じんましん」はどう違いますか?

どちらも皮膚の赤みですが、最も大きな違いは症状の持続時間です。

  • じんましん:皮膚が赤く、蚊に刺されたように盛り上がり、強いかゆみを伴います。症状は数時間から遅くとも24時間以内に跡形もなく消えるのが特徴です。

  • 湿疹(皮膚炎):赤み、ブツブツ、かゆみに加えて、皮膚のガサガサやジュクジュク、小さな水ぶくれなどが数日〜数週間、症状が続きます。

簡単に言うと、「短期間で消えるか長期間続くか」で見分けることができます。

Q. じんましんの原因は何ですか?

じんましんの原因は多岐にわたります。特定の食べ物や薬剤、物理的な刺激(寒冷、温熱、圧迫など)、疲労、ストレスなどが挙げられます。しかし、約8割は原因がない「特発性じんましん」とされます。特に毎日じんましんが繰り返す場合は、原因がないじんましんの場合が多いです。原因がない場合でも、適切な治療で症状をコントロールすることが可能です。

Q. 治療はどのくらいの期間かかりますか?

治療期間は症状のタイプによって異なります。数日で治まる急性じんましんもあれば、症状が6週間以上続く慢性じんましんもあります。慢性じんましんの場合は、再発を防ぐために、症状が治まっても数ヶ月間は治療を続けることが推奨されます。

Q. じんましんの治療法にはどのようなものがありますか?

じんましんの治療は、主に抗ヒスタミン薬の内服が基本となります。これにより、かゆみや膨らみを引き起こすヒスタミンの働きを抑えます。症状が強い場合は、ステロイド薬の短期間使用や、必要に応じて生物学的製剤などの新しい治療法も検討します。

Q. 子供でも治療できますか?

はい、可能です。生後半年から使用可能な飲み薬があります。

Q. じんましんが出た時、自分でできる対処法はありますか?

じんましんの症状を和らげるには、患部を冷やすことが有効です。また、締め付けのきつい服や刺激の強い食べ物、過度なストレスや疲労を避けることも大切です。ただし、症状が繰り返し出る場合や、息苦しさなどの全身症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Ben-Shoshan M, Kanani A, Kalicinsky C, Watson W. “Urticaria.” Allergy, asthma, and clinical immunology : official journal of the Canadian Society of Allergy and Clinical Immunology 20, no. Suppl 3 (2024): 64.

追加情報

蕁麻疹(じんましん) 【要約】

  • 蕁麻疹は、皮膚の下の腫れである血管浮腫を伴うこともある一般的な疾患である。
  • 急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹に分類され、慢性蕁麻疹はさらに自然発生型と誘発型に分類される。
  • 急性および慢性蕁麻疹の治療の中心は、非鎮静性の第二世代ヒスタミン1型(H1)受容体拮抗薬である。
  • 慢性蕁麻疹がコントロールできない場合の二次治療には、オマリズマブ(モノクローナル抗免疫グロブリンE[IgE]抗体)がある。
  • 本稿では、蕁麻疹(血管浮腫の有無にかかわらず)の原因、診断、および管理について概説する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39654029

[quote_source]: Ben-Shoshan M, Kanani A, Kalicinsky C and Watson W. “Urticaria.” Allergy, asthma, and clinical immunology : official journal of the Canadian Society of Allergy and Clinical Immunology 20, no. Suppl 3 (2024): 64.

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SUPERVISOR
監修者情報
岩倉きぼうクリニック院長
松原 章宏
院長 松原章宏
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