アトピー性皮膚炎や乾癬の慢性的なかゆみや炎症に、もう諦めかけていませんか?これまで症状を抑えることが中心だった治療に、今、根本的な改善を目指す画期的な新治療薬「ブイタマークリーム」が注目されています。
このクリームは、皮膚が本来持つ力を引き出す独自のメカニズムで、アトピーや乾癬の悪循環を断ち切る可能性を秘めています。有効成分タピナロフが、皮膚細胞のセンサー「AhR」を活性化し、炎症の根本原因にアプローチ。Linda Stein Goldらの研究でも、その効果と忍容性の高さが示されています。
本記事では、皮膚科専門医がブイタマークリームがアトピーに効く理由を徹底解説。つらい症状から解放される新たな希望を、あなたもぜひ見つけてください。

ブイタマークリームがアトピーに効く3つのメカニズム
アトピー性皮膚炎は、かゆみや炎症、赤みといった症状が繰り返し現れ、日常生活に大きな影響を与えるつらい皮膚疾患です。これまでの治療では症状を抑えることが中心でしたが、新しい治療選択肢として注目されているブイタマークリームは、これまでとは異なる独自のメカニズムでアトピー性皮膚炎の根本的な改善を目指します。皮膚科専門医として、この新薬がなぜアトピー性皮膚炎に効果を発揮するのか、その具体的な働きについて詳しく解説いたします。
有効成分「タピナロフ」の働きとは
ブイタマークリームの有効成分は「タピナロフ」という新しい分子です。このタピナロフは、私たちの皮膚細胞がもともと持っている「芳香族炭化水素受容体(AhR)」と呼ばれる特別なセンサーに特異的に結合し、その働きを活性化させます。AhRは、皮膚の表面を構成する表皮細胞(ケラチノサイト)や、免疫反応を司る免疫細胞など、皮膚のさまざまな細胞に広く存在しています。
このAhRは、皮膚の炎症を調節したり、外部からの刺激を防ぐバリア機能を維持したりする上で、非常に重要な役割を担っています。しかし、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、このAhRの機能が十分に働いていないことが分かっています。タピナロフは、この機能不全に陥ったAhRを活性化することで、皮膚が本来持つ力を引き出し、炎症反応のバランスを正常に戻すことを目的としています。Linda Stein Goldらの研究でも、タピナロフが尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎の治療において、新しい外用治療選択肢として期待されていることが示されています。
炎症を抑える芳香族炭化水素受容体(AhR)作動薬の作用
タピナロフは、AhRを活性化させる「AhR作動薬」として働きます。アトピー性皮膚炎の皮膚では、免疫システムが過剰に反応し、「インターロイキン4(IL-4)」や「インターロイキン13(IL-13)」といった特定の「Th2サイトカイン」が大量に産生されます。
- Th2サイトカイン
- 免疫細胞から分泌されるタンパク質の一種です。
- アレルギー反応や炎症に深く関与し、かゆみや赤みといったアトピー性皮膚炎の主要な症状を引き起こす「炎症の火種」となります。
タピナロフがAhRを活性化させると、このTh2サイトカインの過剰な産生を効果的に抑制する働きがあることが研究で明らかになっています。つまり、炎症を引き起こす根本原因に直接働きかけることで、かゆみや赤みといったアトピー性皮膚炎のつらい症状を根本から抑えることができるのです。
さらに、AhRの活性化は、炎症を鎮める方向に働く別のサイトカインの産生を促すことも示されています。このように、ブイタマークリームは皮膚の炎症反応を多角的にコントロールし、症状の改善へと導きます。Linda Stein Goldらの研究で示されているように、タピナロフは全体的に忍容性が高く、適用部位や使用期間に制限がない新しい外用治療選択肢であるため、広範囲にわたる炎症がある方や、長期的な治療が必要なアトピー性皮膚炎の患者さんにも安心して継続して使用できる可能性を秘めています。
皮膚のバリア機能改善とアトピー悪化サイクルの遮断
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、外部からの刺激を防ぐ「バリア機能」が著しく低下していることが知られています。健康な皮膚は、外部からのアレルゲンや細菌、乾燥といった刺激の侵入を防ぎ、内部の水分が失われるのを防ぐ強固なバリアを持っています。
しかし、アトピー性皮膚炎では、このバリア機能が壊れてしまうため、
- 外部からの刺激が容易に皮膚の内部に侵入しやすくなります。
- この刺激がさらなる炎症とかゆみを引き起こします。
- 患者さんがかゆくて皮膚をかきむしることで、バリア機能がさらに破壊されます。
- その結果、もっとかゆみがひどくなる、という「アトピーの悪化サイクル(負のループ)」が加速してしまいます。
タピナロフはAhRを活性化することで、「フィラグリン」などの皮膚バリアに関連する重要なタンパク質の産生を促進する働きがあります。
- フィラグリン
- 皮膚の最も外側にある「角層」を構成する重要なタンパク質の一つです。
- 皮膚の細胞同士を強固に結びつけ、皮膚のバリア機能を維持するために不可欠な「セメントのような役割」を担っています。
これにより、低下していた皮膚のバリア機能が修復され、強化されます。バリア機能が正常に働くことで、外部からの刺激に対する抵抗力が高まり、アトピー性皮膚炎の悪化サイクルを断ち切り、症状の再燃を防ぐ効果も期待できるのです。
また、Linda Stein Goldらの研究では、ブイタマークリームの使用によって生じる可能性のある毛包炎(毛穴の炎症)や接触皮膚炎といった副作用は、ほとんどが軽度で自己限定的であることが示されています。これらの副作用による治療中止率は低く、多くの患者さんで用量変更や治療中断を必要としません。万が一症状が出た場合でも、一時的な塗布中止で管理できることが多いため、アトピー性皮膚炎の治療を継続する上での大きな安心材料となります。皮膚科専門医として、患者さんには副作用を過度に心配せず、気になる症状があればすぐに当院にご相談いただきたいと考えています。適切な対処により、安心して治療を続けていくことが可能です。
ブイタマークリームの正しい使い方と気になる副作用6選
アトピー性皮膚炎のつらい症状を改善してくれるブイタマークリームですが、その効果を最大限に引き出し、安全に治療を進めるためには、正しい使い方や考えられる副作用について深く理解しておくことが大切です。新しい治療薬を使うことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。当院は皮膚科専門医として、患者さん一人ひとりに寄り添い、安心して治療を受けていただけるよう、このページではブイタマークリームの適切な使用方法と、起こりうる副作用について詳しくご説明いたします。ご自身の肌と向き合い、より良い治療選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。
効果的な塗り方と適切な使用量
ブイタマークリームを効果的に使うためには、皮膚科医の指示に従って正確な塗り方と使用量を守ることが非常に重要です。自己判断で使用方法を変えることは、治療効果の低下や副作用のリスクを高める可能性があります。
まず、クリームを塗るタイミングですが、一般的には入浴後など皮膚が清潔な状態の時に塗布すると、成分がより浸透しやすくなります。入浴で温まった皮膚は血行が良くなり、薬の吸収が促進されるためです。ただし、過度に皮膚をこすることは避け、優しくタオルで水分を拭き取ってから塗るようにしましょう。
塗る範囲は、アトピー性皮膚炎の症状が出ている部分全体に、薄く均一に広げるのがポイントです。部分的に厚く塗ったり、症状のない場所に塗ったりする必要はありません。患部全体に優しくなじませるように塗布してください。
使用量の目安としては、「フィンガーチップユニット(FTU)」という単位がよく用いられます。
- フィンガーチップユニット(FTU)
- 人差し指の先端から第一関節までの長さに出したクリームの量を指します。
- 約0.5グラムで、大人の手のひら2~3枚分の面積に塗ることができます。
この量を参考に、患部の広さに合わせて適量を塗布してください。塗る頻度については、通常1日1回が推奨されていますが、医師の指示に従ってください。
症状が改善してきた場合でも、自己判断で塗布を中止せず、医師と相談しながら治療計画を進めていくことが大切です。アトピー性皮膚炎は慢性的な病気のため、継続的な治療によって皮膚のバリア機能が安定し、症状の再発予防にもつながります。
小児や高齢者への使用に関する注意点
ブイタマークリームを小児や高齢者が使用する際には、年齢による皮膚の状態や体の機能の違いを考慮し、いくつかの注意点があります。
まず、小児への使用についてです。
- ブイタマークリームの有効成分であるタピナロフは、12歳以上の小児に対するアトピー性皮膚炎治療薬として承認されています。
- 小児の皮膚は大人よりも薄く、吸収率が高いため、体内に薬の成分が吸収されやすく、副作用が出やすい可能性も考えられます。
次に、高齢者への使用についてです。
- 高齢者の皮膚は、加齢とともにバリア機能が低下し、乾燥しやすくなっています。
- これにより、薬の浸透性が変化したり、刺激を感じやすくなったりする場合があります。
- また、肝臓や腎臓の機能が低下している方も多く、薬の代謝や排泄が遅れることで、薬の成分が体内に残りやすくなり、副作用が強く出る可能性も否定できません。
そのため、ブイタマークリームを使用する際は、皮膚の状態を注意深く観察し、異変があればすぐに医師に相談することが重要です。高齢者の方で、他に多くの薬を服用している場合は、併用薬との相互作用にも注意が必要です。必ず医師や薬剤師に、現在服用しているすべての薬を伝えてください。どのような年齢層の方であっても、当院のような皮膚科専門医の診断のもと、適切な使用法を守ることが安全で効果的な治療につながります。
ステロイド外用薬との違いと併用治療について
ブイタマークリームは、ステロイド外用薬とは異なる作用機序を持つ新しいタイプのアトピー性皮膚炎治療薬です。それぞれの薬の特性を理解することで、より効果的な治療選択が可能になります。
ステロイド外用薬は、強力な抗炎症作用を持ち、アトピー性皮膚炎・乾癬の急性期の炎症や強いかゆみを速やかに抑えるのに非常に効果的です。しかし、長期にわたって使用すると、皮膚が薄くなる「皮膚萎縮」や毛細血管が浮き出る、ニキビができやすくなるなどの副作用が起こる可能性があります。特に顔などのデリケートな部位では、これらの副作用が目立ちやすい傾向があります。
一方、ブイタマークリームの有効成分であるタピナロフは、皮膚の細胞にある「芳香族炭化水素受容体(AhR)」というタンパク質に作用します。
- この作用により、炎症を抑えたり、皮膚のバリア機能を改善したりすることでアトピー性皮膚炎の症状を改善します。
- このため、ステロイド外用薬のような皮膚萎縮の副作用の心配が少なく、顔などのデリケートな部位や長期にわたる使用にも適していると言われています。
さらに、Linda Stein Goldらの研究で示されているように、ブイタマークリームは適用部位や使用期間に制限がないという特長も持っています。これは、全身の広範囲に症状がある方や、継続的な治療が必要な患者さんにとって、大きなメリットとなります。
ステロイド外用薬とブイタマークリームは、それぞれ異なる得意分野を持っているため、併用して治療を行うこともあります。例えば、
- 炎症が強い時期にはステロイドで症状を速やかに抑え、その後の維持療法としてブイタマークリームを使用する方法。
- 体と顔など、症状の部位や炎症の程度によって使い分けをする方法。
それぞれの薬の特性を理解し、当院のような皮膚科専門医の指導のもとで適切に使い分けることで、より効果的で安全なアトピー性皮膚炎の治療が可能になります。
多い副作用「毛包炎」とその対処法
ブイタマークリームの使用において、頻繁に見られる副作用の一つに「毛包炎」があります。毛包炎とは、毛穴の周りに細菌が感染し、赤みや腫れ、小さなプツプツとした発疹、膿疱(のうほう:膿がたまった水ぶくれ)ができる炎症のことです。特に、皮膚の脂腺が多く、毛が密生している顔や首、脇の下などに発生しやすい傾向があります。
しかし、この毛包炎による治療中止率は低いことが、Linda Stein Goldらの臨床試験(PSOARINGおよびADORING試験)で確認されています。
- ほとんどの場合、症状は軽度で自己限定的、つまり自然に治まることが多いです。
- 薬の使用を一時的に中断するだけで改善されることがほとんどで、用量の変更や治療の全面的な中止が必要になることは稀であることが示されています。
- 毛包炎が発生した場合でも、影響部位への一時的な塗布中止で対応し、他の部位への塗布は継続できることが報告されています。
もし毛包炎の症状が現れた場合は、まず患部へのブイタマークリームの塗布を一時的に中止し、清潔に保つように心がけてください。他の部位でアトピー性皮膚炎の症状が出ている箇所には、引き続き塗布を継続していただいて問題ありません。それでも症状が改善しない場合や、悪化するようであれば、速やかに当院にご相談ください。当院の皮膚科専門医が症状を詳しく診察し、適切な処置や他の治療薬への変更など、最適な対処法を判断いたします。ブイタマークリームは全体的に忍容性が高く、毛包炎が発生した場合でも、ほとんどの患者さんで治療の継続を妨げることはありません。副作用を過度に心配するよりも、気になる症状があればすぐに専門医に相談することが大切です。
その他の副作用と自己判断中止の危険性
ブイタマークリームは一般的に忍容性が高い外用薬ですが、毛包炎以外にもいくつかの副作用が報告されています。これらには、塗布部位の刺激感、かゆみ、赤み、乾燥、そして「頭痛」、「接触皮膚炎」などが含まれます。
- 頭痛
- 頭痛の副作用があるので、最初は病変の一部のみから開始し、徐々にぬる範囲をひろげていくのが、安心なのではないかと、私は考えています。
- 接触皮膚炎
- 皮膚に触れた物質に対してアレルギー反応や刺激反応が起こり、かぶれや湿疹が生じる状態です。なかなか治まらない場合は、我慢せずに医師にご相談ください。アトピーや乾癬の悪化なのか、接触皮膚炎なのか皮膚科医の判断を仰ぎましょう。
最も危険なのは、自己判断でブイタマークリームの使用を中止してしまうことです。アトピー性皮膚炎や乾癬は慢性的な病気であり、症状が落ち着いてきたからといって急に薬の使用をやめると、「リバウンド現象」で症状が再燃したり、さらに悪化したりする可能性があります。皮膚のトラブルは、専門家である皮膚科医に相談し、適切なアドバイスを受けることが、安全かつ効果的に治療を進める上で非常に重要です。
妊娠中・授乳中の使用に関する注意
妊娠中や授乳中の女性がブイタマークリームを使用する際には、特に慎重な配慮が必要です。なぜなら、薬の成分が胎児や乳児に影響を及ぼす可能性を完全に否定できないためです。
現在のところ、ブイタマークリームの有効成分であるタピナロフが、妊娠中の女性や授乳中の女性に与える影響については、ヒトでの十分な安全性のデータが確立されているわけではありません。動物実験では、高用量で生殖発生毒性が確認された報告もありますが、ヒトへの影響は不明確な部分が多く、注意が必要です。
そのため、妊娠している方、または妊娠している可能性がある方、そして授乳中の方は、ブイタマークリームの使用を開始する前に、必ずその旨を当院の医師にお伝えください。当院の皮膚科専門医は、
- アトピー性皮膚炎の症状の重症度
- 他の治療選択肢
- 薬を使用することによるベネフィット(効果)とリスク(危険性)
これらを総合的に評価し、患者さんにとって最適な治療方針を一緒に考えていきます。例えば、アトピー性皮膚炎の症状が非常に強く、ブイタマークリームの使用が必要不可欠と判断された場合は、最小限の量で短期間の使用にとどめるなどの工夫をする場合があります。また、授乳中の場合は、薬の成分が母乳中に移行する可能性があるため、授乳を中止するか、薬の使用を避けるかのどちらかを選択することになるかもしれません。妊娠中・授乳中の治療は、ご自身だけでなく、生まれてくるお子さまや乳児の健康にも関わる重要な決断となりますので、必ず皮膚科専門医の指示に従うようにしてください。
ブイタマークリームはアトピー性皮膚炎の新しい治療選択肢として期待されていますが、その効果を最大限に引き出し、安全に使い続けるためには、正しい知識と専門医による適切な指導が不可欠です。もし、ブイタマークリームについてご不明な点や不安な点がございましたら、いつでも当院の皮膚科専門医にご相談ください。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提案し、アトピー性皮膚炎の改善をサポートいたします。
アトピー性皮膚炎は、かゆみや炎症が慢性的に続き、日常生活に大きな影響を与える皮膚疾患です。肌の不調は見た目の問題だけでなく、精神的な負担も大きく、QOL(生活の質)を低下させる要因となります。しかし、現代の医療技術の進歩により、新しい治療選択肢が登場し、アトピー性皮膚炎の克服に向けた希望が見えてきました。
その一つが、アリル炭化水素受容体(AhR)作動薬であるブイタマークリームです。このクリームは、これまでの治療薬とは異なるアプローチで、アトピー性皮膚炎の根本的な改善を目指します。皮膚科専門医として、ブイタマークリームを最大限に活用し、アトピー性皮膚炎を克服するための具体的な5つのポイントを詳しく解説いたします。
保険適用と治療にかかる費用
ブイタマークリームは、アトピー性皮膚炎や乾癬の治療薬として国の承認を受けており、保険が適用される薬剤です。
1本(15g)あたり3割負担で、1350円ほどの自己負担となります。
ブイタマークリームはステロイドではない薬剤で、しかもクリーム基材である、新しい外用治療選択肢です。
若干値段はしますが、長期的な治療が必要なアトピー性皮膚炎の患者さんにとって、副作用が少なく、症状を安定させることが結果的に経済的負担の軽減にも繋がる場合があります。
ブイタマークリームを処方してもらう皮膚科の選び方
ブイタマークリームは新しい治療薬であり、その効果を最大限に引き出すためには、皮膚科専門医による正確な診断と適切な治療計画が不可欠です。アトピー性皮膚炎は、患者さん一人ひとりで症状の出方や重症度が異なるため、きめ細やかな個別対応が求められます。
皮膚科を選ぶ際には、次のポイントを参考にしてください。
- 皮膚科専門医であること
- アトピー性皮膚炎や乾癬に関する深い知識と豊富な経験を持つ医師がいるクリニックを選びましょう。
- 専門医は、最新の治療法やスキンケアの知識に基づいた最適な提案ができます。
- 当院は皮膚科専門医として、患者さんの肌の状態に合わせた適切な治療を提供しています。
- しっかりとした説明
- ブイタマークリームは頭痛がでたり、塗り方にもコツが必要な薬です。塗り方などをしっかりと説明する医院をオススメします。
- アクセスしやすい場所
- アトピー性皮膚炎・乾癬の治療は継続が大切です。
- 定期的に通院しやすい場所にあるクリニックを選ぶと、治療を続けやすくなります。
- 当院は岩倉市にあり、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市からも通いやすい立地です。
再発を防ぐためのスキンケアと日常生活の改善
ブイタマークリームでアトピー性皮膚炎の症状が改善した後も、その状態を維持し、再発を防ぐためには、日々のスキンケアと生活習慣の見直しが非常に重要です。皮膚のバリア機能を良好に保つことが、かゆみや炎症が起こりにくい健康な肌を作る基本となります。
- 適切なスキンケア
- 保湿剤の活用
- 入浴後など、皮膚が清潔で潤っている状態のときに、保湿剤をたっぷり塗布しましょう。
- 乾燥が特に気になる部分には、重ね塗りがおすすめです。
- ワセリンやヘパリン類似物質など、ご自身の肌質や季節に合った保湿剤を選び、毎日欠かさず使用することが大切ですし、当院の専門医にご相談ください。
- 刺激の少ない洗浄
- 石鹸やボディソープは、刺激の少ないものを選び、よく泡立ててから優しく洗いましょう。
- 熱すぎるお湯での入浴は、皮膚の乾燥を招きやすいため、ぬるめのお湯に設定してください。
- ゴシゴシと強く洗うことは避け、手のひらで包み込むように洗うのがポイントです。
- 保湿剤の活用
- 日常生活の改善
- 悪化因子の回避
- アトピー性皮膚炎は、ダニやホコリ、花粉、ペットの毛などのアレルゲン、汗、特定の食品、ストレスなど、様々な因子で悪化することがあります。
- ご自身の悪化因子を把握し、生活環境から可能な限り排除するよう努めましょう。
- 例えば、こまめな掃除、換気、適切な室温・湿度管理などが有効です。
- 規則正しい生活
- 十分な睡眠とバランスの取れた食事は、体の免疫力を高め、皮膚の健康維持にもつながります。
- 睡眠不足はかゆみを悪化させる要因にもなり得ますので、規則的な睡眠習慣を心がけてください。
- ストレスはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる一因です。
- 適度な休息やリラックスできる時間を持つことも大切です。
- 悪化因子の回避
アトピーや乾癬による精神的ストレスを軽減する方法
アトピー性皮膚炎や乾癬は、身体的なかゆみや炎症だけでなく、慢性的な症状による見た目の問題、周囲の視線、治療の長期化などから、大きな精神的ストレスを引き起こすことがあります。このストレスがさらにアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる「かゆみ・掻破(そうは)・ストレスの悪循環」に陥ることは少なくありません。
精神的な負担を軽減し、この悪循環を断ち切るためには、以下の方法を試してみてください。
- ストレス管理
- ストレスはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる主要な要因の一つです。
- 趣味に没頭する、軽い運動を取り入れる、瞑想や深呼吸など、ご自身に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
- 日常生活の中に、意識的にリラックスできる時間を作るように心がけましょう。
- 専門家への相談
- 症状が悪化し、気分が落ち込んだり、不眠が続いたりする場合は、一人で抱え込まずに専門家へ相談しましょう。
- 皮膚科医はもちろん、必要に応じて精神科医に紹介する場合もあります。
- 周囲の理解
- 家族や友人、職場の同僚など、周囲にアトピー性皮膚炎について理解してもらうことも重要です。
- ご自身の症状や困っていることを伝えることで、協力を得られやすくなります。
- 正しい知識を共有することで、不必要な誤解や偏見を減らすことにもつながります。
- 情報共有の場
- 同じアトピー性皮膚炎を持つ患者さんとの情報交換の場に参加することも、孤独感を和らげます。
- 新たな対処法や、共感し合える仲間を見つけるきっかけにもなるでしょう。
Linda Stein Goldらの研究で、ブイタマークリームは全体的に忍容性が高く、適用部位や使用期間に制限がない新規外用治療選択肢であることが示されています。これは、患者さんが精神的な負担を感じることなく、長期的に安心して治療を継続できる一助となります。治療がスムーズに進むことで、精神的なゆとりも生まれやすくなります。
最新のアトピー治療薬との組み合わせと長期的な展望
ブイタマークリームは、アリル炭化水素受容体(AhR)作動薬という新しい作用機序を持つ外用薬であり、アトピー性皮膚炎の治療に新たな選択肢をもたらしました。この新しい治療薬は、これまでのステロイド外用薬とは異なるアプローチで炎症を抑え、皮膚のバリア機能を改善することで、アトピー性皮膚炎の症状緩和を目指します。
Linda Stein Goldらの研究では、タピナロフ(ブイタマークリームの有効成分)は、適用部位や使用期間に制限がなく、アトピー性皮膚炎の成人患者に対する新規外用治療選択肢として、その忍容性の高さが評価されています。また、関連する毛包炎や接触皮膚炎といった副作用についても、臨床試験ではほとんどの場合が軽度で自己限定的であることが示されています。つまり、治療の中止に至ることは稀であると報告されており、患者さんが安心して治療を継続できる非常に重要な情報です。
当院では、患者さんの症状や重症度、ライフスタイルに合わせて、ブイタマークリーム単独の治療に限らず、様々な治療法を組み合わせて最適な治療計画をご提案しています。
- ステロイド外用薬や免疫抑制外用薬との併用
- 炎症が非常に強い時期や、症状が落ち着きにくい特定の部位には、従来のステロイド外用薬を一時的に併用することがあります。
- また、タクロリムス軟膏などの免疫抑制外用薬を併用し、炎症を効果的に抑えることもあります。
- これらの薬は、ブイタマークリームとは異なるメカニズムで作用するため、相乗効果が期待できます。
- 内服薬の併用
- かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬を内服することで症状を軽減します。
- 重度の炎症がある場合には、ステロイド内服薬を一時的に使用して、速やかに炎症を鎮めることもあります。
- 新しい全身療法との組み合わせ
- 従来の治療で効果が不十分な重症のアトピー性皮膚炎に対しては、デュピルマブなどの生物学的製剤や、JAK阻害薬と呼ばれる内服薬など、より効果の高い治療薬が登場しています。
- これらは、ブイタマークリームのような外用薬では対応しきれない全身性の炎症を抑えることを目的としています。
アトピー性皮膚炎は長期にわたる付き合いが必要な病気ですが、医療の進歩により、患者さん一人ひとりに合わせた「テーラーメイド治療」が可能になっています。当院は皮膚科専門医として、ブイタマークリームをはじめとする最新の治療法を組み合わせ、患者さんの肌の状態やライフスタイル、ご希望を丁寧に伺いながら、最適な治療計画をご提案いたします。症状の改善だけでなく、再発予防やQOLの向上を目指し、患者さんと共に歩んでいきたいと考えています。
岩倉市、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市周辺にお住まいの方で、アトピー性皮膚炎にお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。皮膚科専門医が、皆さまの肌の健康と明るい未来をサポートいたします。
まとめ
アトピー性皮膚炎や乾癬は、かゆみや炎症が慢性的に続き、日常生活に大きな影響を与えるつらい皮膚疾患です。しかし、ブイタマークリームという新しい治療薬は、炎症を抑え、皮膚のバリア機能を改善することで、症状の根本改善を目指します。ステロイド外用薬のような皮膚萎縮の心配が少なく、顔などデリケートな部位にも長期的に使用できるのが大きなメリットです。
もし毛包炎などの副作用が出ても、ほとんどは軽度で治療を継続できる場合が多いのでご安心ください。アトピー性皮膚炎・乾癬は、最新の治療法を専門医と相談しながら継続することが大切です。ブイタマークリームを上手に活用し、健やかな肌と明るい未来を取り戻しましょう。ぜひ一度、当院の皮膚科専門医にご相談ください。
参考文献
- Stein Gold L, Bruno MJ, Lewitt GM, Hebert AA. Characteristics and management of follicular events and contact dermatitis in patients using tapinarof cream for the treatment of atopic dermatitis or plaque psoriasis.
追加情報
タイトル: Characteristics and management of follicular events and contact dermatitis in patients using tapinarof cream for the treatment of atopic dermatitis or plaque psoriasis – PubMed 著者: Linda Stein Gold et al., Matthew J Bruno, G Michael Lewitt, Adelaide A Hebert
概要:
- 研究目的・背景: 尋常性乾癬またはアトピー性皮膚炎の患者がTapinarofクリーム1%で治療される際の、毛包性イベントおよび接触皮膚炎の発生率、症状、管理に関する洞察を提供すること。
- 主要な手法・アプローチ: Tapinarofに関する主要な臨床試験論文をレビューし、著者らの実臨床経験に基づく意見を加えて補足した。
- 最も重要な結果・知見: PSOARINGおよびADORING試験において、毛包性イベントおよび接触皮膚炎による治療中止率は低く、ほとんどの患者で用量変更や治療中断は不要であった。Tapinarofは一般的に忍容性が高く、毛包炎や接触皮膚炎が発生した場合でも、影響部位への一時的な塗布中止で対応し、他の部位への塗布は継続できる。正しい塗布方法に関する教育が重要である。
- 結論・今後の展望: Tapinarofは、適用部位や使用期間に制限のない、尋常性乾癬およびアトピー性皮膚炎の成人患者に対する新規外用治療選択肢である。関連する毛包性イベントおよび接触皮膚炎は、一般的に軽度で自己限定的であり、治療の妨げになることは稀である。
要点:
- Tapinarofクリーム1%は、尋常性乾癬およびアトピー性皮膚炎の治療において、毛包性イベントや接触皮膚炎による治療中止率が低い。
- 副反応はほとんどの場合、用量変更や治療中断を必要とせず、一時的な塗布中止で管理可能である。
- Tapinarofは全体的に忍容性が高く、適用部位や使用期間に制限がない新規外用治療選択肢である。
- 毛包性イベントや接触皮膚炎は軽度で自己限定的であり、治療の継続を妨げることは稀である。
関連キーワード: Aryl hydrocarbon receptor agonist, atopic dermatitis, plaque psoriasis, tapinarof cream 1% once-daily monotherapy, well tolerated