帯状疱疹
院長から帯状疱疹でお悩みの方へ
「ピリピリ」「チクチク」とした痛みを感じたら、すぐに皮膚科へご相談ください。
3人に1人が生涯に帯状疱疹を発症するといわれています。
帯状疱疹の治療は、発症から72時間以内に抗ウイルス薬の投与を開始することが重要です。治療開始が遅れると、帯状疱疹後神経痛という、長く続く痛みが後遺症として残るリスクが高まります。当院では、患者様の痛みを和らげ、後遺症を予防するための早期診断・専門的な治療に注力しています。
岩倉市のみに限らず、北名古屋、小牧、江南、一宮市周辺の、帯状疱疹で悩まれている方のお力になれれば嬉しいです。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じ”水痘・帯状疱疹ウイルス”が原因で発症します。
子供のときに知らず知らずにかかった水ぼうそうが、治った後も神経に潜んでいます。
疲れやストレスで、免疫力が低下した際に、ウイルスが再活性化し、帯状疱疹を発症します。
主な症状
顔や体、四肢に左右片側の神経に沿って、ピリピリ、チクチクとした痛みや、かゆみをおこします。
皮膚の症状として赤い発疹や水疱を伴います。
痛みや、かゆみのみが先にでてきた、皮膚の症状は1週間ほど遅れてでてくることもあります。
顔の帯状疱疹は重症化することがあり、危険部位です。顔の麻痺や、目の障害、難聴、髄膜炎などをおこすことがあります。
その他の部位でも重症な場合は、神経に障害をおこし、手足の麻痺、排尿障害をおこすこともあります。
帯状疱疹の早期診断の壁：発疹のない「痛みだけ」の期間
帯状疱疹の診断を難しくしているのが、皮膚に特徴的な発疹（水ぶくれや、赤み）が現れる前の「痛みだけ」を感じる期間（前駆症状）です。
患者様が「ピリピリ」「チクチク」とした痛みを感じ皮膚科を受診されても、まだ目に見える皮疹がない段階では、皮膚科専門医であっても診断が困難なケースが多く存在します。
この期間に診断が難しい理由
症状の誤認: 痛みが出る神経の場所によっては、「頭痛」「腰痛」「神経痛」などと、見過ごされたりすることがあります。痛みがあって湿布をはっていたら、実は帯状疱疹だったということもよくあります。
ウイルスの潜伏: ウイルスが活発化し痛みを引き起こしていても、皮膚の表面に到達し、発疹として現れるまでには数日から1週間程度の時間差があるためです。
- 発疹がなく、痛みのみしかないため、皮膚科受診の際には必ず痛みがあることを伝えるようにしましょう。最近では前駆症状でなく、発疹が非常に軽度な帯状疱疹もあります。私も総合病院勤務医時代に頭痛で脳外科にかかっていた人が実は大乗方針だったという方を何人もみてきました。特に頭の中は発疹がでても観察がむずかしく、診断が非常にむずかしいです。
痛みがあり、通常の湿疹では変だなと感じられたら、かならず皮膚科医に痛みを伝えることが、よい治療結果につながります。
早期診断が重要な理由
帯状疱疹の治療効果を最大限に高め、後遺症である帯状疱疹後神経痛（PHN）を予防するためには、発症から72時間以内に抗ウイルス薬の投与を開始することが重要です。
この発疹のない前駆症状の段階では、「診断の壁」があり、確定診断は不可能です。左右どちらか一方に限定された痛みや、痛みの性質（ピリピリ、チクチク）など、「痛みだけ」の段階で「もしかして？」と感じた方は、専門医を早期に受診してください。そして、数日～1週間は発疹の出現がないか注意深くセルフチェックすることも重要です。
当クリニックの治療方針
1. 皮膚科専門医が正確な診断んと、患者様一人ひとりの重症度に応じて、適切な抗ウイルス薬の処方を行います。
2. 急性期の痛みを和らげるための**痛み止め（神経障害性疼痛に効く薬）**の併用を積極的に行います。
3.痛みが強い場合は、ペインクリニックへの紹介も検討します。
帯状疱疹の治療法
治療の中心は飲み薬です。抗ウイルス薬を7日間しっかりのむことが大切です。1週間ほどで、かさぶたとなり、治ります。痛みは、数カ月ほどで改善する方が多いですが、後遺症として痛みが残ることもあります。
抗ウイルス薬：バルトレックス、ファムビル、アメナリーフ
症状に応じて鎮痛薬を使用します
☆リウマチや膠原病で、免疫抑制剤をのんでいる方は、中止とする場合があります。
皮膚の状態に応じて、抗ウイルス薬や、傷を治すための治療薬を使用します。
| 治療のフェーズ | 期間の目安 | 治療内容と注意点 |
|---|---|---|
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1. 抗ウイルス薬の服用期間 |
通常7日間
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発症から72時間以内（遅くとも5日以内）の服用開始が最も重要です。この薬はウイルスの増殖を抑えるための治療の「中心」です。
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2. 皮膚症状の治癒期間 |
約2〜3週間
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水ぶくれが破れ、かさぶたに変わるのが治癒の目安です。帯状疱疹後に傷になっている場合は、完全に落ち着くまで、患部を清潔に保つ必要があります。 |
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3. 安静にすべき期間 |
約10日〜15日間
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症状のピークは発症から1〜2週間です。この期間は無理をしないようにしましょう。
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4. 痛みの残存期間
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皮膚が治ってから数週間～数カ月
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皮膚症状が治まっても、神経の炎症により痛みが残ることがあります。この痛みの治療は、抗ウイルス薬とは別に鎮痛薬などで行います。
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帯状疱疹後神経痛を残さないために-日常生活の注意点-
冷やすと痛みが残りやすくなります。冷やさないようにしましょう。
痛みを我慢すると、神経が痛みを覚えてしまいます。我慢できる痛みの範囲であっても、しっかり痛み止めをのみましょう。
仕事を休む必要はないですが、疲れをためないように、軽めにしましょう。
お風呂で温めると痛みがやわらぐ方もおり、入浴は可能です。しかし、感染力は低いですが、ご家族にうつらないように、最後の入浴をオススメします。 ・水ぶくれが破れ、傷になっていると、ばい菌が入ることがあります。その場合は、入浴をさけ、シャワーで帯状疱疹部はきれいに洗うようにしましょう。
帯状疱疹後神経痛（PHN）」への移行を防ぐために
痛みが長引く場合：帯状疱疹後神経痛（PHN）の危険性
帯状疱疹の皮膚症状（水ぶくれやかさぶた）が治っても、痛みが残る場合があります。これは、ウイルスによって神経が損傷を受けたために起こります。
定義: 痛みが皮膚症状の治癒後も3ヶ月以上続く状態を、「帯状疱疹後神経痛（Postherpetic Neuralgia: PHN）」と呼びます。
特徴: PHNの痛みは、**「焼けるような痛み」「電気が走るような鋭い痛み」「触るだけで痛い（アロディニア）」**など、日常生活に大きな支障をきたす慢性的な痛みへと変化します。
リスク要因: 50歳以上の方や、帯状疱疹発症初期に痛みが非常に強かった方は、PHNへ移行するリスクが高いことが知られています。
早期の痛み治療がPHN移行を防ぐ鍵
PHNへの移行を防ぐためには、抗ウイルス薬の服用期間（通常7日間）が終了した後も、痛みの治療を継続することが重要です。
重要な考え方: 帯状疱疹の治療は、「ウイルスの増殖を抑える（抗ウイルス薬）」と「神経の炎症を抑え、痛みを和らげる（鎮痛薬など）」の両輪で進める必要があります。
当院のアプローチ: 当院では、発症早期から鎮痛薬を積極的に使用します。状況によっては神経ブロック療法などの治療も考慮し、ペインクリニックへ紹介する場合もあり、PHNへの移行を最小限に抑える治療を積極的に行います。
以下に該当する方は、すぐに専門医にご相談ください
皮膚症状が治ったのに、ピリピリ、ジンジンとした痛みが続いている方。
患部に服が擦れるだけでも強い痛みを感じる方（アロディニア）。
「どうせ治るだろう」と痛みを我慢せず、発症早期から痛みに対して積極的に治療を行うことが、慢性的な後遺症を残さないための最善策です。
当院には、岩倉市のみならず、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市からもご来院いただいています。
帯状疱疹の予防：2種類のワクチンの違いと選び方
帯状疱疹は50歳以上で発症リスクが高まります。帯状疱疹を予防し、万一発症しても重症化や帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐため、2種類のワクチン（乾燥弱毒生ワクチン、不活化ワクチン）が行われています。
当院ではより高い効果が認められている不活化ワクチン(シングリックス)を取り扱っています。
特にご高齢の方、持病をお持ちの方、免疫抑制状態にある方はご検討をおすすめします。
| 乾燥弱毒生水痘ワクチン（生ワクチン） | シングリックス（不活化ワクチン） | |
|---|---|---|
|
接種回数 |
1回 |
2回 |
|
発症予防効果 |
約50〜60% |
97%以上（50歳以上） |
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効果の持続期間 |
約5年程度 |
10年以上（長期的な効果が確認されている） |
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費用 |
比較的安価
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高価（生ワクチンよりも高額）
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接種できない方 |
免疫機能に問題がある方 |
ほとんどの方に接種可能 |
よくある質問
Q. 帯状疱疹は人にうつりますか？
帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうにかかったことがない人に水ぼうそうとしてうつる可能性があります。水ぶくれが破れた汁に触れないよう注意し、発疹が全てかさぶたになるまでは、免疫のない人との接触を避けることが推奨されます。
Q. 帯状疱疹になったら、お風呂に入ってもいいですか？
ひどいキズがなく、体調が良ければ入浴は可能です。患部は清潔に保ち、タオルを共有するのは避けてください。
Q. 治療薬の抗ウイルス薬は、いつまで飲めば効果がありますか？
抗ウイルス薬は、ウイルスが増えるのを抑える薬です。一般的には、発疹が出始めてから72時間以内に飲み始めることが最も効果的とされています。通常、7日間の処方になりますが、途中で自己判断せずに、医師の指示された期間、確実に服用することが重要です。
Q. 治った後の「かゆみ」や「しびれ」は、帯状疱疹後神経痛ですか？
帯状疱疹が治癒した後も、かゆみやしびれ、触れるだけで痛むなどの感覚異常が残ることがあります。これらは全て帯状疱疹後神経痛（PHN）の一種である可能性があります。通常の痛み止めでは効かないことが多いため、ピリピリとした症状が続く場合は、痛みの専門的な治療を行う必要があります。すぐに医師にご相談ください。
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