岩倉きぼうクリニック

乾癬(かんせん)

院長から乾癬でお悩みの方へ

乾癬は塗り薬だけでなく、内服薬や光線治療、生物学的剤とよばれる高額な薬剤まで豊富な治療選択肢があります。
重症度やライフスタイルを考慮し、治療を選択する必要があります。
私は、大学病院や総合病院勤務に、多くの乾癬の患者様を診察してきました。その経験を活かし、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療法をご提案します。
岩倉市はもちろん、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市にお住まいで、乾癬にお悩みの方は、当院にご相談ください。

乾癬とは?

乾癬は、皮膚に炎症が起こり、赤い発疹(紅斑)の上に銀白色のフケのようなカサカサした皮膚(鱗屑)が付着し、それがポロポロと剥がれ落ちる慢性の皮膚疾患です。免疫系の異常が関与していると考えられています。
症状は良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、適切な治療とセルフケアで症状をコントロールし、ほとんど症状のない状態を長く維持することが可能です。

  • 乾癬の基本情報と特徴 日本では10万人以上の患者さんがおり、比較的多くみられる疾患です。皮膚のターンオーバーが異常に速くなり、古い角質が大量に蓄積することで、紅斑、鱗屑が生じます。肘、膝、頭部、腰部など、摩擦や刺激を受けやすい部位によく見られますが、全身に広がることもあります。
  • 乾癬は人にうつる? 乾癬は、細菌やウイルスが原因の感染症ではないため、人から人にうつることはありません。ご家族や周囲の方への感染の心配はありませんのでご安心ください。

乾癬の主な症状

乾癬の症状は多岐にわたりますが、主に以下の特徴的な症状が見られます。

  • 皮膚症状(紅斑、鱗屑、肥厚) 皮膚が赤く盛り上がり(紅斑)、その表面に銀白色のフケのような鱗屑が付着します。この鱗屑は簡単にはがれ落ち、下には出血しやすい状態(アウスピッツ現象)が見られることもあります。皮膚は厚く硬くなる(肥厚)こともあります。
  • 爪の症状 爪が厚くなったり、変形したり、色が濁ったりすることがあります。爪の表面に小さなへこみ(点状陥凹)や、小さな出血(点状出血)が見られることもあります。
  • 関節の症状(乾癬性関節炎) 皮膚症状だけでなく、関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばりが生じることがあります。特に手の指や足の指、背骨などに多く見られ、放置すると関節の変形につながることもあります。

乾癬の種類

  • 尋常性乾癬 最も一般的なタイプで、全体の約9割を占めます。皮膚に赤く盛り上がった発疹と銀白色の鱗屑が特徴で、全身の様々な部位に現れます。
  • 滴状乾癬 比較的小さな水滴状の発疹が全身に多発するタイプです。扁桃腺炎などの感染症の後に発症することがあります。
  • 乾癬性紅皮症 全身の皮膚の9割以上に紅斑と鱗屑が広がり、皮膚が真っ赤になる重症なタイプです。発熱や倦怠感を伴うこともあります。
  • 膿疱性乾癬 皮膚に無菌性の膿(うみ)が溜まった膿疱が多数出現する重症なタイプです。発熱、関節痛、倦怠感などの全身症状を伴うことが多く、厚生労働省の指定難病にも認定されています。入院による治療が必要になることがあります。類似疾患として、再発性環状紅斑様乾癬という疾患もあります。
  • 関節症性乾癬 皮膚の乾癬症状に加えて、関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばりを伴うタイプです。乾癬性関節炎とも呼ばれ、皮膚症状より先に関節症状が現れることもあり、関節リウマチと間違われることもあります。リウマチと診断されていたが、乾癬の皮膚症状がでてきた方は、主治医の先生に相談しましょう。

乾癬の原因と悪化要因

乾癬の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

  • 遺伝的要因 乾癬になりやすい体質が遺伝することもありますが、必ずしも遺伝するわけではありません。
  • 外的要因(感染症など) 風邪や扁桃腺炎などの細菌感染症が悪化の引き金となることがあります。
  • 内的要因(生活習慣病、肥満など) 高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病や肥満も乾癬の発症や悪化に関与すると言われています。喫煙や過度な飲酒も悪化要因となることがあります。

乾癬と全身疾患の関連(乾癬マーチ Psoriatic March)

乾癬は単なる皮膚の病気ではなく、全身の様々な病気と関連していることが明らかになっています。これを「乾癬マーチ(Psoriatic March)」と呼び、心血管疾患、腎疾患、肝疾患、ぶどう膜炎、炎症性腸疾患、メタボリックシンドロームなど、多様な合併症を引き起こすリスクがあることが知られています。乾癬の方は生活習慣病はしっかりと治療することが大切です。

乾癬の治療法

乾癬の治療は、ぬり薬だけでなく、内服薬や光線治療、生物学的剤など様々な治療法があります。
患者様の症状の重症度やライフスタイルに合わせて、最適な方法が異なります。
当院では、患者様一人ひとりに合わせたテーラーメイドの治療をご提案し、必要であれば、総合病院へ紹介します。

1.塗り薬(外用薬)

軽症から中等症の乾癬に用いられる治療法です。最近では、2025年にブイタマーという新しいタイプの外用薬が使用できるようになりました。ステロイドではなく、免疫のバランスを整え、炎症を改善します。

乾癬の塗り薬のドボベットです
乾癬の塗り薬のマーデュオックスです

2.光線治療

最新の光線治療「エキシマライト」
光線治療は、炎症を抑え、皮膚の免疫機能を正常化させる効果が期待できる治療法です。当院ではエキシマライトという308nmの波長をだす機器を用いて、局所的な乾癬に対して、高出力の光線治療を行っています。

円形脱毛症の治療で使う二つ目の機械です。セラビーム(エキシマライト)の機械です。
円形脱毛症の治療に使う光線治療の機械です。セラビームミニ(エキシマライト)という機械です。

3.内服薬

  • 中等症以上の乾癬や、外用療法で効果が不十分な場合に選択されます。
    • アプレミラスト(オテズラ®: 免疫細胞内の炎症性物質を調整する薬剤です。副作用が少なく、ご高齢の方も、長期的に使いやすいです。
    • シクロスポリン: 免疫の働きを抑える薬剤です。
    • チガソン: ビタミンA誘導体で、皮膚の異常な角化を抑えます。
内服薬オテズラ®(アプレミラスト)

費用:3割負担の場合、1日2錠服用で4週間で約16,632円なります。

4.生物学的製剤

既存の治療法で効果が不十分な重症の乾癬に対して、近年開発された画期的な治療法です。乾癬の発症に関わる特定の炎症性サイトカインをピンポイントでブロックすることで、高い治療効果が期待できます。

院長も江南厚生病院や大学病院で勤務していた際に、乾癬に対して生物学的製剤を多くの症例に使用してきた経験があります。
生物学的製剤が好ましい状態であると考えられる場合、総合病院へ紹介させていただきます。

乾癬の生活上の注意点

乾癬の症状をコントロールし、良い状態を保つためには、日々の生活習慣も非常に重要です。

  • スキンケアと皮膚への刺激 皮膚の乾燥を防ぎ、清潔に保つことが大切です。入浴時は強くこすらず、刺激の少ない石鹸を使用しましょう。乾燥対策として保湿剤をこまめに塗布してください。皮膚への摩擦や掻きむしりは症状を悪化させるため避けてください。
  • 食生活と栄養 バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • ストレス管理と適度な運動 精神的・肉体的ストレスは乾癬の悪化要因となります。リラックスできる時間を作り、適度な運動を取り入れることで、ストレスを軽減し、心身のバランスを整えることが大切です。
  • 喫煙について 喫煙は乾癬を悪化させるリスクがあるため、控えるべきです。
  • 入浴について 毎日入浴しても問題ありませんが、熱すぎるお風呂や長時間の入浴、強くこすることは避けましょう。
  • 日焼けについて 日光浴が症状改善に繋がることもありますが、過度な日焼けは避けてください。

よくある質問

Q. 乾癬は完治しますか?

乾癬になりやすい体質そのものを変えることはできませんが、適切な治療と日常生活での工夫により、ほとんど症状のない状態を長期間保つことが可能です。当院では、患者様が快適な生活を送れるようサポートいたします。

Q. 乾癬は遺伝しますか?

乾癬は遺伝的な要因が関与することもありますが、必ずしも親から子へ遺伝するわけではありません。遺伝的素因を持つ人が、何らかのきっかけで発症すると考えられています。

Q. 乾癬治療中に注意すべきことはありますか?

風邪や扁桃腺炎などの感染症が悪化の引き金になることがあるため、体調管理にも注意してください。

SUPERVISOR
監修者情報
岩倉きぼうクリニック院長
松原 章宏
院長 松原章宏
アクセス 愛知県岩倉市大地新町1丁目76
ドラッグユタカ岩倉店様すぐ横。
アピタパワー岩倉店様の近くです。
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