掌蹠膿疱症
「手のひらや足の裏にできる、このプツプツは何?」と悩んでいませんか?
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひらや足の裏に膿をもった小さな水疱や膿疱が繰り返し現れる皮膚の病気です。見た目の症状だけでなく、関節の痛みや爪の変形を伴うこともあり、日常生活に大きな影響を及ぼします。岩倉市はもちろん、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市にお住まいで、この手足の難治性の皮膚炎にお悩みの方は、当院にご相談ください。
掌蹠膿疱症とは?
手のひらや足の裏に、水疱や小さな白い膿をもった膿疱が繰り返し現れる皮膚の病気です。免疫の異常であれると考えらえています。
関節の痛みや爪の変形が生じることもありますが、感染症ではなく人にうつる心配はありません。
手のひらや足の裏に現れる代表的な症状
健康な手のひらや足の裏は、外部からの刺激に対して丈夫で柔軟性があり、特定の部位に繰り返し炎症が起きることはありません。しかし、掌蹠膿疱症を発症すると、この大切な部位に特徴的な変化が現れます。
掌蹠膿疱症は、主に手のひらと足の裏に、直径数ミリ程度の小さな水ぶくれや膿が繰り返しできる、慢性的な炎症性疾患です。その症状は段階的に進行することが多く、皮膚科医として多くの患者さんを診る中で、共通した経過が観察されます。
最初に現れる症状として、皮膚の赤みや、強いかゆみが挙げられます。その後、透明な水ぶくれ(小水疱)ができ、これが次第に黄色みがかった膿疱へと変化していきます。この膿疱は「無菌性」という特徴があります。
- 無菌性膿疱とは
- 細菌感染によるものではないことを意味します。
- そのため、他人にうつる心配はありませんので、ご安心ください。
膿疱は時間の経過とともに乾燥し、茶色っぽいカサブタ(痂皮:かひ)となって、皮膚がポロポロと剥がれ落ちる「落屑(らくせつ)」という状態へと進みます。これらの症状は手のひらや足の裏全体に広がることもあれば、特定の部位に集中して現れることもあります。また、症状は一度治まっても、時間差で繰り返し出現することが特徴です。
症状が進行すると、皮膚全体が厚く硬くなる「角化(かくか)」が著しくなります。さらに、乾燥によって皮膚にひび割れ(亀裂:きれつ)が生じることがあります。このひび割れは非常に痛みを伴い、「コップを持つときに手が痛む」「階段を上るたびに足の裏に激痛が走る」など、日常生活での手の使用や歩行を困難にし、生活の質を大きく低下させます。また、強いかゆみが継続し、夜間に眠れないほどのつらさを感じる方も少なくありません。
掌蹠膿疱症の主な種類と病型
掌蹠膿疱症は、手のひらと足の裏に特徴的な膿疱が繰り返し現れる慢性的な皮膚疾患です。その症状の現れ方や重症度には個人差が大きく、明確に「種類」として分類されることは少ないですが、病型としてはその進行度や合併症の有無によって捉えられます。
この病気は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す「寛解(かんかい)」と「増悪(ぞうあく)」という経過をたどることが特徴です。
- 寛解期
- 症状が一時的に落ち着き、見た目も比較的良好な状態です。
- 増悪期
- 膿疱や赤み、かゆみ、痛みが強く現れる時期です。
軽症の場合は、限られた範囲に時々膿疱ができる程度で、日常生活への影響も少ないことがあります。しかし、重症化すると、手のひらや足の裏全体に膿疱が広がり、皮膚の角化やひび割れが著しくなることもあります。
また、掌蹠膿疱症の患者さんの中には、手のひらや足の裏だけでなく、体幹や四肢など他の部位にも膿疱や赤みが広がることがあります。掌蹠膿疱症の”掌蹠外皮疹”とよばれています。
掌蹠膿疱症は、見た目の問題だけでなく、強いかゆみや痛み、ひび割れによって、仕事や家事、スポーツなど、日常生活のあらゆる場面でつらい思いをすることがあります。特に、症状が長期間にわたると、精神的なストレスにも繋がりかねません。ご自身の症状を正しく理解し、根気強く治療に取り組むことが非常に重要です。
喫煙・根尖病巣など発症に関わる主な原因
掌蹠膿疱症の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症する「多因子性疾患(たいんしせいしっかん)」と考えられています。皮膚科の臨床現場では、患者さんの生活習慣や既往歴を詳しく伺いながら、病気の引き金となっている可能性のある要因を探していきます。
その中でも、特に有力な誘因として知られているのが「喫煙」です。喫煙は、掌蹠膿疱症の発症リスクを大幅に高めることが多くの研究で示されており、非喫煙者に比べて喫煙者の方が、この病気を発症しやすい傾向にあります。
- 喫煙が掌蹠膿疱症を誘発するメカニズム
- タバコに含まれるニコチンが、体内の免疫細胞や炎症に関わる細胞表面にある「ニコチン性アセチルコリン受容体」という特殊なセンサーを刺激します。
- この刺激が、免疫系の過剰な反応を引き起こし、皮膚の炎症を促進すると考えられています。
次に、多いのが病巣感染です。これは、体のどこかに慢性的な炎症源(病巣)が存在し、そこから全身に炎症性物質が放出されることで、皮膚症状を誘発するというメカニズムです。
- 病巣感染の種類
- 扁桃腺炎:喉の奥にある扁桃腺が繰り返し炎症を起こす状態です。
- 副鼻腔炎:鼻の奥にある副鼻腔が慢性的に炎症を起こす状態です。
- 根尖病巣:虫歯の治療が不十分な場合などに、歯の根の先端部分に細菌感染が起こり、炎症が持続する状態です。
ストレスや特定の薬剤(例えば、鎮痛剤の一部)、遺伝的な要因も掌蹠膿疱症の発症に関与していると指摘されています。これらの原因を特定し、適切に対処することは、症状の改善や再発予防に繋がる非常に重要なステップとなります。
喫煙: 喫煙は掌蹠膿疱症の発症や悪化に大きく関係します。禁煙を行うことで、免疫機能が正常化し症状の改善・緩和が期待できます。
口腔内の慢性炎症:歯の根元の炎症である根尖病巣(こんせんびょうそう)や歯周炎の治療が大切です。以前は歯科金属などの金属アレルギーが原因とされていましたが、最近では関連が低いと考えられています。
扁桃腺炎・副鼻腔炎: のどの奥の扁桃腺炎や副鼻腔炎などの慢性的な炎症も、掌蹠膿疱症の原因です。
原因不明:なかには明確な原因が特定できない場合もあります 。
外用薬から全身療法まで一般的な治療法
掌蹠膿疱症の治療は、患者さんの症状の重症度や病状の広がり、生活習慣などを考慮し、最適な方法を組み合わせて行われます。当院では、患者さんの状態に合わせたテーラーメイドな治療計画をご提案しています。
1.塗り薬(外用薬):直接症状にアプローチします
- ステロイド外用薬
- 皮膚の炎症を強力に抑える作用があります。
- 症状の強さや部位に応じて、軟膏やクリームなど剤形や強さの異なる薬剤を選択します。
- 正しく使用することで、赤みやかゆみを効果的に軽減します。
- 活性型ビタミンD3外用薬
- 皮膚細胞の過剰な増殖を抑え、皮膚の生まれ変わりを正常な状態に近づける働きがあります。
- ステロイド外用薬と併用することで、より高い治療効果が期待できます。
- 保湿剤
- 乾燥による皮膚のバリア機能の低下を防ぎ、症状の悪化を抑制します。
- ステロイド外用薬
2.光線療法:特定の光で炎症を抑えます
特定の波長の紫外線を患部に当てることで、皮膚の炎症を抑え、症状の改善を促す治療法です。
最新の光線治療「エキシマライト」
光線治療は、炎症を抑え、皮膚の免疫機能を正常化させる効果が期待できる治療法です。当院が導入しているエキシマライトは、掌蹠膿疱症に特に有効とされる308nmの波長を使用するため、従来の治療法よりも高い効果と短い治療期間が期待できます。患者様の負担を軽減するため、この最新機器を2台ご用意しています。
・効果発現が早い
従来の光線治療器であるナローバンドUVB療法(311nm)と比較し、ピーク波長が3nm短波長側へシフトした308nmを使用することで、より高い治療効果が期待できます。
・エキシマフィルターを搭載
297nm以下の不要な波長(紅斑を生じやすい短波長)をカットできるエキシマフィルターを搭載しているので、より安全に治療を行うことができます。
3.新薬オテズラ(アプレミラスト)の有効性と安全性
近年の掌蹠膿疱症の治療において、新しい内服薬「アプレミラスト」が2025年3月に登場し、治療選択肢が広がっています。この薬は、炎症を引き起こす細胞内の酵素であるホスホジエステラーゼ4(PDE4)という物質の働きを阻害することで、体内の炎症反応を根本から抑える効果が期待されています。
実際に、外用治療だけでは十分な効果が得られなかった日本の掌蹠膿疱症患者さんを対象とした臨床試験では、アプレミラストの有効性と安全性が明確に確認されています。この研究では、アプレミラストを服用した患者さんの多くで、掌蹠膿疱症の重症度を示す指標である「PPPASI(掌蹠膿疱症面積重症度指数)」が50%以上改善する「PPPASI-50反応」が、偽薬(プラセボ)を服用したグループと比較して有意に高い割合で達成されました(P値 = 0.0003)。このP値は、統計学的に極めて有意な差であることを示しています。
さらに、アプレミラストの服用により、手のひらや足の裏の皮膚の状態だけでなく、患者さんが感じていたかゆみ、不快感、痛みといったつらい症状も改善が見られました。この治療効果は、服用開始から16週間で認められ、その後も32週まで持続することが確認されており、長期的な症状の安定が期待できます。
アプレミラストの副作用としては、下痢、腹部の不快感、頭痛、吐き気などが報告されています。しかし、これまでの臨床データでは、新たな安全性上の大きな懸念は認められていません。アプレミラストは、難治性の掌蹠膿疱症に対する新しい経口治療薬として、多くの患者さんの症状改善に大きく貢献する可能性を秘めていると言えるでしょう。この治療薬が適しているかどうかは、専門医と相談して慎重に判断することが重要です。副作用が少なく、ご高齢の方も、長期的に使いやすいです。
費用:3割負担の場合、1日2錠服用で4週間で約16,632円なります。
4.生物学的製剤(トレムフィア®)などの先端治療
従来の治療法で十分な効果が得られない、特に重症で難治性の掌蹠膿疱症に対しては、生物学的製剤をはじめとする先端治療が検討されることがあります。生物学的製剤とは、体内で炎症を引き起こす特定の免疫物質の働きをピンポイントで抑えることで、病気の原因となる炎症反応を強力に抑制する注射薬です。
掌蹠膿疱症は、乾癬(かんせん)と類似した炎症のメカニズムを持つことが指摘されています。そのため、乾癬の治療に用いられる生物学的製剤が、掌蹠膿疱症にも応用されることがあります。これらの製剤は、体内で炎症を引き起こす特定の「サイトカイン(細胞間の情報伝達物質)」であるインターロイキン17(IL-17)やインターロイキン23(IL-23)などの働きを阻害することで、効果を発揮します。
生物学的製剤は、その高い効果が期待できる一方で、いくつかの注意点もあります。まず、高額な治療費がかかることが挙げられます。また、免疫の働きを抑制するため、感染症のリスクがわずかに高まる可能性もあります。そのため、生物学的製剤は、他の治療法で効果が乏しい重症例に限定して適用されるのが一般的です。
当院のような皮膚科専門医が、患者さんの症状の重症度、合併症(特に掌蹠膿疱症性骨関節炎)の有無、全身状態、他の治療歴などを総合的に判断し、生物学的製剤が最適な治療選択肢となるかを慎重に検討します。
掌蹠膿疱症に保険が適応されるトレムフィア®は2018年11月に「既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症」に承認された薬剤です。IL-23受容体へのIL-23の結合を阻害することで、掌蹠膿疱症に対して治療効果を示すと、考えられています。
トレムフィア®の当院での治療は行っていないため、必要な場合には総合病院へ紹介させていただきます。
水虫・汗疱など間違いやすい皮膚疾患との違い
手のひらや足の裏に水ぶくれや皮むけができる皮膚疾患はいくつかあり、ご自身で掌蹠膿疱症かどうかを判断するのは非常に難しい場合があります。皮膚科専門医として、患者さんの症状を詳細に観察し、鑑別診断(他の似た病気と区別すること)を行うことは、正確な治療に繋がる最初のステップです。
特に掌蹠膿疱症と間違いやすい疾患として、「水虫(足白癬・手白癬)」や「汗疱(かんぽう・異汗性湿疹)」が挙げられます。
- 掌蹠膿疱症の特徴
- 手のひらや足の裏に、黄色みがかった「無菌性」の膿疱が繰り返し現れます。
- 無菌性であるため、細菌感染とは異なります。
- 水虫(足白癬・手白癬)との違い
- 原因:白癬菌というカビの一種が皮膚に感染することで起こります。
- 症状:かゆみや皮むけ、水ぶくれなどが主で、掌蹠膿疱症と似ていることがあります。
- 診断:水虫の膿疱は一般的に「有菌性」、つまり菌を含んでいます。皮膚の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を確認する検査で、水虫かどうかを確実に診断できます。当院でもこの検査を迅速に行い、鑑別します。
- 汗疱(かんぽう・異汗性湿疹)との違い
- 原因:汗腺の機能異常やアレルギー反応などが関連すると考えられています。
- 症状:手のひらや足の裏に、小さな透明な水ぶくれが多数できる疾患で、強いかゆみを伴うことが多いです。
- 特徴:特に汗をかきやすい季節(夏場など)に症状が出やすく、アレルギー体質の方に多く見られます。掌蹠膿疱症のように「黄色い膿」が溜まることは稀です。
これらの疾患はそれぞれ原因や治療法が大きく異なるため、自己判断で市販薬を使用したり、放置したりすることは避け、必ず皮膚科専門医にご相談ください。正確な診断が、適切な治療への最短経路です。
合併症である掌蹠膿疱症性骨関節炎の症状
掌蹠膿疱症は、皮膚だけの病気ではありません。患者さんの中には「掌蹠膿疱症性骨関節炎(しょうせきのうほうしょうせい こつかんせつえん)」という合併症を発症する方もいます。これは、皮膚の症状だけでなく、体の中の関節や骨にも炎症が及ぶ、全身性の病気です。
特に炎症が起こりやすい部位は以下の通りです。
- 好発部位
- 胸鎖関節(きょうさかんせつ): 鎖骨と胸の骨(胸骨)の境目の関節です。
- 肋骨(ろっこつ)と胸骨の境目: 胸の前面の痛みとして感じられることがあります。
- 脊椎(せきつい): 背骨全体に炎症が起こり、腰や背中の痛み、可動域制限を伴うことがあります。
- 仙腸関節(せんちょうかんせつ): 骨盤の一部であり、腰の下の方の痛みの原因となることがあります。
- 手指や足指の関節: 指の腫れや痛み、動かしにくさを感じることがあります。
主な症状としては、患部の関節に強い痛みや腫れが生じ、触ると圧痛(おすと痛みを感じること)を伴うことがあります。朝起きたときに体がこわばり、しばらく動かしにくいと感じる「朝のこわばり」も特徴的な症状の一つです。このこわばりは、数十分から数時間続くこともあります。
痛みが強くなると、腕を上げたり、歩いたり、階段を昇り降りしたりといった日常生活の動作が制限され、大きな負担となります。例えば、物を持ち上げるのが辛い、寝返りが打ちにくい、といった症状で患者さんが困るケースも少なくありません。
この合併症は、皮膚症状の悪化と連動して関節症状も悪化することもあれば、皮膚症状が落ち着いていても関節の痛みが続くこともあります。皮膚の症状が改善したからといって、関節の痛みを軽視してはいけません。
診断には、血液検査で炎症の程度を評価したり、超音波、X線検査やMRI検査などで関節の状態を詳細に確認したりします。これらの検査によって、骨や関節の破壊が進行していないか、炎症の活動性などを評価します。
もし、掌蹠膿疱症の皮膚症状に加えて、関節の痛みやこわばりを感じるようでしたら、放置せずに早めに皮膚科医にご相談ください。当院では、掌蹠膿疱症性骨関節炎が疑われる場合は、連携している膠原病内科へ紹介させていただきます。
生活習慣の改善点
掌蹠膿疱症の再発予防には、症状の引き金となる可能性のある要因を特定し、これらを生活から排除する意識が大切です。喫煙、病巣感染、金属アレルギーは、特に重要な要因として多くの研究で指摘されています。
- 喫煙の回避
- 喫煙は掌蹠膿疱症の最も強力な発症・悪化要因の一つです。
- タバコに含まれるニコチンが、体内の免疫システムを過剰に刺激し、皮膚の炎症を促進すると考えられています。
- 喫煙を続ける限り、治療の効果が出にくくなったり、症状が悪化したりするリスクが高まります。
- 禁煙は、再発予防において非常に効果的な第一歩となります。
- 病巣感染(びょうそうかんせん)の治療
- 体のどこかに慢性的な炎症源(病巣)が存在することで、掌蹠膿疱症が誘発されることがあります。
- 具体的な病巣感染としては、扁桃腺炎(へんとうせんえん)、副鼻腔炎(ふくびくうせん)、虫歯の根元の炎症(根尖病巣:こんせんびょうそう)などが挙げられます。
- これらの感染症が疑われる場合は、耳鼻咽喉科や歯科を受診し、適切な治療を受けることで、皮膚症状の改善につながることが少なくありません。
- 規則正しい生活習慣
- バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動は、全身の健康だけでなく、皮膚の免疫機能を正常に保つために不可欠です。
- 特に睡眠不足や過労は、体の抵抗力を低下させ、症状が悪化する要因となることがあります。
- 日々の生活リズムを整えることで、体の内側から皮膚の健康をサポートし、再発しにくい体質を目指しましょう。
これらの生活習慣の改善は、掌蹠膿疱症の再発予防だけでなく、全体的な健康維持にも繋がる大切な取り組みです。
禁煙のすすめ
掌蹠膿疱症の患者さんにとって、禁煙は再発予防のための最も重要かつ効果的な手段の一つです。喫煙と掌蹠膿疱症には強い関連があることが多くの医学研究で明らかにされており、喫煙している患者さんが禁煙することで、症状が劇的に改善したり、再発しにくくなったりするケースが多く見られます。
- 喫煙が掌蹠膿疱症に与える影響
- 免疫系の変調
- タバコに含まれるニコチンや他の有害物質は、体の免疫システムに悪影響を及ぼします。
- 免疫細胞の働きを乱し、慢性的な炎症反応を促進することで、掌蹠膿疱症の発症や悪化に繋がると考えられています。
- 発症・悪化リスクの増加
- 喫煙者は非喫煙者に比べて掌蹠膿疱症の発症リスクが大幅に高く、すでに発症している場合は症状が重くなる傾向があります。
- 免疫系の変調
- 禁煙による具体的な効果
- 禁煙は、掌蹠膿疱症の症状を軽快させ、治療効果を最大限に引き出すために不可欠です。
- 再発のリスクを大幅に減少させることが期待できます。
- 皮膚症状の改善だけでなく、呼吸器や循環器など、全身の健康状態も著しく改善されます。
- 禁煙を成功させるためのヒント
- 具体的な目標設定
- 「いつまでに禁煙を開始するか」「どのように禁煙を進めるか」など、具体的な計画を立てましょう。
- 禁煙補助薬の活用
- ニコチンパッチやニコチンガム、あるいは内服薬など、禁煙をサポートする医薬品があります。
- これらは、禁煙時の離脱症状を和らげ、禁煙成功の確率を高めます。
- 禁煙外来の利用
- 当院では行っていませんが、本気になったら禁煙外来を利用するのも方法です。
- 周囲のサポート
- 家族や友人にも禁煙することを伝え、協力を得ることで、モチベーションを維持しやすくなります。
- 禁煙は簡単な道のりではありませんが、一人で抱え込まずに周囲の力を借りることが成功への鍵です。
- 具体的な目標設定
禁煙は、掌蹠膿疱症の症状改善と再発予防のために、皮膚科専門医として最も強くおすすめする生活習慣の改善点です。ぜひ前向きに取り組んでみてください。
肌への負担を減らす日々のスキンケア
掌蹠膿疱症の症状が出ている手のひらや足の裏の皮膚は、健康な状態に比べて非常にデリケートです。外部からの刺激でも症状が悪化したり、再発の引き金になったりすることがあります。日々のスキンケアでは、肌への負担を最小限に抑え、皮膚のバリア機能を守ることを意識してください。
- やさしい洗浄
- 手のひらや足の裏は、汗や汚れが溜まりやすく、常に清潔に保つことが重要です。
- 洗浄の際は、刺激の少ない石鹸やボディソープを選び、泡でやさしく洗いましょう。
- 熱すぎるお湯は皮膚を乾燥させる原因となるため、ぬるま湯を使用し、長時間の入浴は避けてください。
- 洗い終わったら、清潔な柔らかいタオルで、こすらずに水分を吸い取るようにやさしく拭き取ることが大切です。
- 徹底した保湿
- 皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。
- 入浴後や手洗い後、特に乾燥を感じる時など、こまめに保湿剤を塗布してください。
- たっぷり塗布して、皮膚のうるおいを保ち、ひび割れやカサつきを防ぐことで、症状の悪化を抑制できます。
- 刺激となる要因の回避
- 摩擦
- きつい靴下や手袋、硬い素材の衣類などは、皮膚に摩擦を与え、刺激となることがあります。
- ゆったりとした肌触りの良い天然素材(綿など)を選ぶように心がけましょう。
- めくれた皮膚をむしりたくなりますが、これも刺激となるので、むしらないようにしましょう。
- 化学物質
- 洗剤、シャンプー、パーマ液などの化学物質は、皮膚にとって強い刺激となることがあります。
- 水仕事をする際は、ゴム手袋などを着用し、直接肌に触れないように工夫してください。
- 摩擦
ストレスとの付き合い方と心のケア
掌蹠膿疱症は、身体的な症状だけでなく、手のひらや足の裏という目立つ部位に症状が現れるため、患者さんは精神的なストレスを強く感じやすい病気です。このストレスが、症状の悪化や再発の一因となることも少なくありません。心と体の両面からのケアが、病気と上手に付き合う上で欠かせません。
- ストレスの原因把握と対処
- ご自身がどのような状況でストレスを感じやすいのか、冷静に振り返ることが大切です。
- 仕事のプレッシャー、人間関係、睡眠不足など、ストレスの原因を具体的に把握することで、対処法を考えやすくなります。
- 全てのストレスをなくすことは難しいですが、可能な範囲で原因を取り除く、あるいは軽減する工夫をしましょう。
- リラックスできる時間の確保
- 心身の緊張を和らげ、リフレッシュできる時間を作ることが重要です。
- 趣味に没頭する、軽い運動(ウォーキングなど)をする、瞑想やヨガを取り入れる、好きな音楽を聴く、アロマテラピーを楽しむなど、ご自身に合ったリラックス方法を見つけてください。
- 毎日少しでも、心と体を休ませる時間を持つことで、ストレスへの抵抗力が高まります。
- 十分な質の良い睡眠
- 睡眠は、心身の疲労回復に不可欠であり、ストレス耐性を高める上で非常に重要です。
- 寝室の環境を整えたり、就寝前のスマートフォン操作を控えたりするなど、質の良い睡眠を十分にとるための工夫をしましょう。
- 規則正しい睡眠習慣は、体のリズムを整え、精神的な安定にも繋がります。
- 専門家への相談の検討
- もし一人でストレスに対処するのが難しいと感じる場合は、精神科や心療内科の医師、あるいはカウンセリングの専門家に相談することも有効な選択肢です。
- 心の専門家は、ストレスマネジメントの具体的な方法を教えてくれたり、心の状態を整える手助けをしてくれたりします。
- 掌蹠膿疱症のつらい症状による精神的負担や、生活の質の低下を軽減するためにも、積極的に心のケアを考えてみてください。
心と体のバランスを保ち、ストレスと上手に付き合うことは、掌蹠膿疱症の再発予防と、充実した生活を送るために欠かせない要素です。
治療にかかる期間・費用と医療費助成制度
掌蹠膿疱症の治療期間は、患者さんによって大きく異なります。数ヶ月で症状が落ち着く方もいれば、年単位での継続的な治療が必要となる方もいらっしゃいます。
治療にかかる費用については、基本的に健康保険が適用されます。自己負担額は、患者さんの年齢や所得に応じて、通常1割から3割となります。治療内容によって費用は変動しますが、主な要素は以下の通りです。
- 外用薬・内服薬の処方費用
- 処方される薬の種類や量によって費用が変わります。
- 継続的な服用や塗布が必要なため、薬代は一定の負担となります。
- 光線療法
- 治療回数に応じて費用が発生します。
- 定期的に通院して光線を照射する必要があります。
- 生物学的製剤
- 他の治療法と比較して、薬剤費が高額になる傾向があります。
- 効果が高い反面、費用の負担は大きくなります。
生物学的製剤を行う場合、月々の医療費が高額になることがあります。国の「高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)」を利用することで、経済的な負担を軽減することが可能です。この制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、ひと月の上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される仕組みです。自己負担の上限額は、年齢や所得によって定められています。
まとめ
掌蹠膿疱症は手のひらや足の裏につらい膿疱を起こします。、見た目だけでなく、かゆみや痛みで日常生活に大きな影響を及ぼします。以前は金属アレルギーが原因と言われてきましたが、最近では喫煙や病巣感染が原因として多いと考えられており、水虫など他の疾患と見分けにくい厄介な病気です。
この病気は専門医による早期の正確な診断と、患者さん一人ひとりに合った適切な治療が症状改善の鍵となります。外用薬から内服薬、光線療法、さらにはアプレミラストや生物学的製剤といった新しい治療選択肢も増え、諦める必要はありません。
掌蹠膿疱症は、根気強い治療と生活習慣の改善で症状を落ち着かせ、生活の質を向上させることが十分に可能です。もし手のひらや足の裏の症状でお悩みでしたら、一人で抱え込まず、ぜひお気軽に当院までご相談ください。岩倉市はもちろん、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市からもアクセスしやすい当院が、皆さんの快適な日々を全力でサポートいたします。
よくある質問
Q. 掌蹠膿疱症は治りますか?
掌蹠膿疱症は、原因を特定し適切な治療を継続することで、症状の改善や長期的な寛解(症状が落ち着いた状態)を目指すことができます。以前は治療が難しいとされていましたが、新しい治療薬の登場により、多くの患者さんで症状の改善が期待できるようになりました。
Q. 掌蹠膿疱症と水虫は違いますか?
はい、全く別の病気です。水虫は白癬菌というカビが原因の感染症ですが、掌蹠膿疱症は自己免疫の異常が原因と考えられている非感染性の病気です。症状が似ているため自己判断はせず、正確な診断のためにも皮膚科専門医への受診をおすすめします。
参考文献
- Terui T, Okubo Y, Kobayashi S, Sano S, Morita A, Imafuku S, Tada Y, Abe M, Yaguchi M, Uehara N, Handa T, Tanaka M, Zhang W, Paris M, Murakami M. Efficacy and Safety of Apremilast for the Treatment of Japanese Patients with Palmoplantar Pustulosis: Results from a Phase 2, Randomized, Placebo-Controlled Study.
追加情報
タイトル: Efficacy and Safety of Apremilast for the Treatment of Japanese Patients with Palmoplantar Pustulosis: Results from a Phase 2, Randomized, Placebo-Controlled Study – PubMed 著者: Tadashi Terui, Yukari Okubo, Satomi Kobayashi, Shigetoshi Sano, Akimichi Morita, Shinichi Imafuku, Yayoi Tada, Masatoshi Abe, Masafumi Yaguchi, Natsuka Uehara, Takahiro Handa, Masayuki Tanaka, Wendy Zhang, Maria Paris, Masamoto Murakami
概要:
- 掌蹠膿疱症 (PPP) は、掻痒、疼痛を伴う再発性の慢性皮膚炎であり、治療選択肢が限られている。
- 本研究は、外用治療に十分な効果が得られなかった日本のPPP患者を対象に、アプレミラストの有効性と安全性を評価する第2相ランダム化プラセボ対照二重盲検試験である。
- 患者はアプレミラスト30mg 1日2回投与群またはプラセボ群にランダムに割り付けられ、16週間治療後に全患者がアプレミラストを投与する16週間の延長期間が設けられた。
- 主要評価項目は、ベースラインからの掌蹠膿疱症面積重症度指数 (PPPASI) が50%以上改善するPPPASI-50反応の達成であった。
- アプレミラスト群はプラセボ群と比較して、16週時点でPPPASI-50達成率が有意に高く、疾患重症度および患者報告症状の改善も認められた。
- アプレミラストによる改善効果は32週まで持続し、新たな安全性シグナルは観察されなかった。
要点:
- アプレミラスト治療は、日本の掌蹠膿疱症患者において、16週時点でプラセボと比較して疾患重症度(PPPASI、PPSI)および患者報告症状(掻痒、不快感/疼痛)の有意な改善を示した。
- 主要評価項目であるPPPASI-50反応の達成率は、アプレミラスト群でプラセボ群よりも有意に高かった(P = 0.0003)。
- アプレミラストの治療効果は32週まで持続することが確認された。
- 最も一般的な治療下で発現した有害事象は、下痢、腹部不快感、頭痛、悪心であったが、新たな安全性上の懸念は認められなかった。
- 本研究は、アプレミラストが外用治療で効果不十分な日本の掌蹠膿疱症患者にとって、有効かつ安全な治療選択肢となる可能性を示唆する。
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経歴
2014年 名古屋市立大学医学部卒業
2016年 名古屋市立大学病院、江南厚生病院、知多厚生病院皮膚科に勤務
2022年 名古屋市立大学病院 皮膚科 医局長・助教
2023年 咲くらクリニック、大手美容皮膚科、ニキビ治療専門クリニック勤務
2024年 岩倉きぼうクリニック院長
専門医・認定医
日本皮膚科学会専門医
日本アレルギー学会専門医
がん治療認定医

