岩倉きぼうクリニック

ケロイド

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ケロイドとは?その原因と肥厚性瘢痕の違い

傷跡が赤く盛り上がったり、かゆみや痛みを伴ったりして、「これってケロイドかな?」と不安に感じたことはありませんか? 見た目が似ているため区別が難しい「ケロイド」と「肥厚性瘢痕」ですが、実はそれぞれ異なる特徴を持ち、その違いを正しく理解することが適切な治療への第一歩となります。

岩倉きぼうクリニックでは、ケロイドや肥厚性瘢痕に対する治療を行っています。北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市周辺で気になる症状がある方は、お一人で悩まず、ぜひご相談ください。

ケロイドと肥厚性瘢痕の3つの大きな違い

傷跡が赤く盛り上がったり、かゆみや痛みを伴ったりすると、「これって何だろう?」「もしかしてケロイドかな?」と不安に感じるかもしれません。傷跡の悩みは人それぞれですが、ご自身の傷跡がケロイドなのか、それとも肥厚性瘢痕という別の状態なのかを正しく知ることは、適切なケアや治療を選ぶ上でとても大切です。二つの症状は見た目が似ているため、区別が難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、それぞれに異なる特徴があり、その違いを理解することが、前向きに治療と向き合うための第一歩となります。

定義:傷跡が「増殖」するか「盛り上がる」か

ケロイドと肥厚性瘢痕は、どちらも皮膚の傷が治る過程でできる盛り上がった傷跡です。しかし、それぞれの傷跡がどのように広がるのか、その定義には明確な違いがあります。この違いを理解することが、ご自身の傷跡がどのような状態であるかを判断する上で非常に重要です。

  • ケロイド
    • 皮膚の傷が治る時に、線維組織(せんいそしき)という皮膚を作るもとになる組織が異常に増えすぎてしまい、赤く盛り上がって硬くなる傷跡です。
    • 一番の特徴は、もともとの傷があった場所の範囲を超えて、健康な皮膚の部分にまでどんどん広がっていく性質を持つことです。
    • 傷が小さかったとしても、ケロイドは周囲へと浸潤(しんじゅん)するように拡大し、時間が経つにつれてさらに大きくなる場合があります。
  • 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)
    • こちらも傷が治る過程で皮膚が盛り上がった状態です。
    • ケロイドとは異なり、もともとの傷があった場所の範囲内で盛り上がりがとどまることが大きな特徴です。
    • 赤みや硬さはあるものの、通常は時間の経過とともに徐々にやわらかくなり、平らになっていく傾向があります。
    • 正常な傷跡の治癒過程が少し行き過ぎてしまった状態とも言えます。

このように、ケロイドは皮膚の創傷治癒(そうしょうちゆ)における異常な線維増殖反応(せんいぞうしょくはんのう)であり、元の皮膚損傷(ひふそんしょう)を超えて拡大する瘢痕組織(はんこんそしき)を形成することが定義として挙げられます。

発生メカニズム:原因と体質で異なる組織反応

ケロイドと肥厚性瘢痕は、傷ができた後に皮膚がどのように反応し、どのようなメカニズムで発生するのかが異なります。この違いを知ることで、「なぜ自分の傷跡はこうなってしまったのか」という疑問の答えが見えてくるかもしれません。

  • ケロイドの発生メカニズム
    • ケロイドは、個人の体質的な要素が非常に強く関わっていると考えられています。
    • 具体的には、傷が治る過程で、線維芽細胞という皮膚の細胞がコラーゲン(皮膚の弾力などを保つタンパク質)を必要以上にたくさん作りすぎてしまう傾向がある方にできやすいです。
    • 免疫の働きや遺伝的な要因も関連していることが指摘されており、特定の家系でケロイドができやすいというケースも少なくありません。
    • ほんの小さな傷、例えばニキビの跡、虫刺されの跡、ピアスの穴、さらには予防接種の跡など、一見すると軽微な傷からでもケロイドが発生することがあります。
    • これは、体質的に線維組織の増殖を抑える機能がうまく働かないためと考えられます。
  • 肥厚性瘢痕の発生メカニズム
    • 肥厚性瘢痕は、傷が治る過程で生じる炎症(えんしょう)が長引いたり、傷口に常に引っ張られるような物理的な力がかかったりすることで発生しやすくなります。
    • 例えば、関節部や常に動かすことが多い部位にできた傷、あるいは細菌感染などを起こして治りが悪くなった傷などが特に肥厚性瘢痕になりやすいと言われています。
    • 体質的な要素よりも、傷の種類や傷ができた部位、傷の治り方に影響されることが大きいと考えられています。
    • しかし、一般的には傷の範囲を超えて広がることはありません。

進行性:時間の経過とともに悪化するケロイドの特徴

ケロイドと肥厚性瘢痕は、時間の経過とともに症状がどのように変化していくかという点でも大きな違いがあります。この進行性の違いを理解することは、治療のタイミングや今後の見通しを予測する上で非常に重要です。

  • ケロイドの進行性
    • ケロイドは、一度発生すると、時間の経過とともに増殖を続け、徐々に大きくなったり、赤みや盛り上がりが強くなったりする傾向があります。
    • かゆみや痛みといった症状も、時間が経つにつれて悪化することが少なくありません。
    • 治療によって一時的に改善したとしても、再びケロイドが発生してしまう再発(さいはつ)のリスクが高いという特徴も持っています。
    • そのため、ケロイドの治療は非常に困難な場合が多いです。
    • 切除手術(せつじょしゅじゅつ)を行って傷跡を取り除いても、その手術の傷から再びケロイドが発生してしまうケースも報告されています。
    • ケロイドは自然に治ることはほとんどなく、そのまま放置すると見た目の問題だけでなく、かゆみや痛みが日常生活に大きな影響を与えることもあります。
  • 肥厚性瘢痕の進行性
    • 肥厚性瘢痕は、症状が一時的に悪化することがあっても、通常は数か月から数年かけて自然に改善していく傾向があります。
    • 赤みが薄くなり、盛り上がりが平らになって、徐々にやわらかくなることが多いです。
    • ケロイドのように元の傷の範囲を超えて広がることはなく、また再発のリスクもケロイドに比べると低いと考えられています。
    • ただし、改善には時間がかかるため、その間は見た目の問題や不快な症状に悩まされることがあります。

見た目の違い:赤み・硬さ・盛り上がりの特徴

ケロイドと肥厚性瘢痕は、どちらも盛り上がった赤い傷跡に見えるため、見た目だけで区別するのは難しいと感じるかもしれません。しかし、詳しく観察するといくつかの特徴的な違いがあります。ご自身の傷跡をよく見て、以下の特徴と比べてみましょう。

特徴 ケロイドの見た目と感触 肥厚性瘢痕の見た目と感触
硬さ
盛り上がり
境界線
症状

ケロイドと肥厚性瘢痕は、どちらも盛り上がった赤い傷跡に見えるため、見た目だけで区別するのは難しいと感じるかもしれません。しかし、詳しく観察するといくつかの特徴的な違いがあります。ご自身の傷跡をよく見て、以下の特徴と比べてみましょう。

診断方法:自己判断ではなく専門医への相談が重要

ご自身の傷跡がケロイドなのか、それとも肥厚性瘢痕なのかを自分で判断することは非常に難しいです。見た目が似ているだけでなく、症状の出方にも個人差があるため、誤った判断をしてしまうと、適切な治療の機会を逃してしまうことにもなりかねません。

そのため、傷跡が気になったら、まずは皮膚科の専門医に相談することが大切です。専門医は、以下のような方法で正確な診断を行います。

  1. 視診(目視による診察)と触診(手で触っての診察)
    • 傷跡の大きさ、形、色、硬さ、周囲の皮膚との境界線、盛り上がりの状態などを詳しく観察します。
    • 傷跡に触れて、その硬さや弾力性(だんりょくせい)、周囲への広がり方を確認します。
  2. 問診(お話を聞くこと)
    • いつ、どのような傷ができたのか、その後の経過(けいか)、かゆみや痛みなどの症状の有無や程度を詳しくお伺いします。
    • ご家族に似た症状の人がいるか(体質的な要素の確認)なども確認します。
    • これまでの治療経験や、アレルギーの有無なども確認します。
  3. 必要に応じた検査
    • 診断が難しい場合や、他の病気との区別が必要な場合には、皮膚の一部を採取して顕微鏡(けんびきょう)で調べる組織検査(生検、せいけん)を行うこともあります。
    • この検査で、ケロイド特有の細胞の増殖パターンを確認することができます。

早期に専門医の診察を受けることで、正確な診断に基づいた適切な治療を始めることができます。ケロイドと肥厚性瘢痕には多様な治療法が存在し、単独での治療だけでなく、場合によっては、リスクはありますが、手術的切除(しゅじゅつてきせつじょ)と他の治療法を組み合わせることが必要な場合もあります。特にケロイドの場合、進行性があるため、できるだけ早く治療を開始することが、症状の悪化を防ぎ、見た目の改善にもつながる重要なポイントです。

当院では、患者さん一人ひとりの傷跡の状態を丁寧に診察し、最適な治療法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

ケロイドや肥厚性瘢痕の症状と原因となる特徴

傷跡の悩みは、見た目だけでなく、心にも大きな負担をかけることがあります。当院を受診される患者さんの多くは、「この傷跡がなぜできたのか」「どうしてこんな症状が出るのか」と不安な気持ちを抱えていらっしゃいます。ここでは、ケロイドや肥厚性瘢痕がどのような症状を伴うのか、そして、なぜ発生するのかについて、一つひとつ丁寧に解説していきます。ご自身の傷跡と向き合い、理解を深めるための一助となれば幸いです。

共通する不快な症状:痛み、かゆみ、赤み、ひきつれ

ケロイドと肥厚性瘢痕は、どちらも盛り上がった傷跡ですが、さまざまな不快な症状を伴うことがあります。これらの症状は、日常生活の質を大きく低下させてしまうことがあります。

  • 痛み(ズキズキ、チクチク)
    • 傷跡に常にズキズキとした痛みや、チクチクとした刺激を感じることがあります。
    • 特にケロイドでは、炎症が強いため、触れると痛みが強くなる傾向があります。
    • これは、傷跡の中で神経が過敏になったり、組織が炎症を起こしたりしているためです。
  • かゆみ(強く掻きたくなる)
    • 傷跡が激しくかゆくなることも、よくある症状です。
    • かゆみが強すぎると、無意識のうちに掻きむしってしまい、さらに炎症が悪化したり、傷跡が大きくなったりする悪循環に陥ることもあります。
    • かゆみは、傷の治癒過程で放出される物質や、神経の過敏性によって引き起こされると考えられています。
  • 赤み(目立つ色)
    • 傷跡の周囲と比べて、赤みが強く目立つことがあります。
    • これは、傷跡の内部で新しい血管が異常に増えたり、慢性的な炎症が続いていたりするためです。
    • 赤みは時間の経過とともに薄れることもありますが、ケロイドの場合は長期間にわたり強く残る傾向が見られます。
  • ひきつれ(つっぱる感覚)
    • 傷跡が硬く盛り上がることで、皮膚がピンとひきつれるような感覚を覚えることがあります。
    • 特に、関節の近くにできた傷跡は、腕や脚を曲げ伸ばしするたびに皮膚が引っ張られ、動きが制限されることがあります。
    • これにより、日常生活での動作が不自由になったり、スポーツや特定の作業が困難になったりすることもあります。

これらの症状は、見えない部分にできた傷跡であっても、患者さんの生活に大きな影響を及ぼします。適切なケアや治療を行うことで、これらの不快な症状を和らげることが可能です。

ケロイドが発生しやすい部位と傷の種類

ケロイドは、もともとの傷の範囲を超えて、周囲の健康な皮膚にまで広がっていく特徴を持つ傷跡です。これは、皮膚の傷が治る過程で、線維芽細胞(せんいがさいぼう)という皮膚の細胞がコラーゲン(皮膚の組織を作るタンパク質)を必要以上に作りすぎてしまう「異常な線維増殖反応(せんいぞうしょくはんのう)」が起こるためです。

ケロイドと肥厚性瘢痕の治療法と再発予防のポイント

ケロイドや肥厚性瘢痕は、見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみ、ひきつれなど、日常生活に大きな影響を与えることがあります。これらの傷跡に悩んでいる方は、「治らないもの」と諦めてしまっているかもしれません。しかし、適切な治療と継続的なケアによって、症状を改善し、快適な生活を取り戻すことは十分に可能です。私たちは、患者さんの声に耳を傾け、一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法を一緒に見つけていきたいと考えています。

大切なのは、決して一人で悩まず、専門医と一緒に治療と向き合うことです。一緒に、それぞれの症状に合わせた治療法と、その後の再発を防ぐための大切なポイントを見ていきましょう。

さまざまな治療アプローチ:単独療法から複合療法まで

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療法は、患者さんの傷跡の種類や大きさ、そして症状の程度によって、非常に多くの選択肢があります。一つの治療法だけで効果が期待できる場合もあれば、いくつかの治療法を組み合わせることで、より良い結果を目指すこともあります。

最近の医療研究では、ケロイドの治療には多様なアプローチがあり、一つの治療法だけでなく、手術と他の治療法を組み合わせることも可能であると報告されています。傷跡の状態や患者さんの生活習慣などを考慮して、最適な治療計画を立てていくことが重要です。

多様な治療法が存在し、以下のような選択肢があります。

  • 手術的切除
    • 盛り上がった組織を外科的に取り除く方法です。
    • ケロイドは切除手術を行っても、再び発生しやすい性質(再発)があります。
    • そのため、手術だけで終わらせることは少なく、他の治療と組み合わせて再発を予防することが一般的です。
    • この再発の傾向が、ケロイドの治療を特に難しくしている要因の一つと考えられています。
  • 圧迫療法
    • シリコンシートや専用のサポーター、テープなどで傷跡を物理的に圧迫します。
    • 盛り上がりを抑えたり、硬さをやわらげたりする効果が期待できます。
    • 継続的に圧力をかけることで、傷跡の過剰な成長を抑制する目的があります。
  • ステロイド含有テープ・注射
    • ステロイドという薬の力で、傷跡の炎症を抑え、皮膚の組織が異常に増えるのを防ぎます。
    • 特に、病巣(びょうそう)と呼ばれる患部の中に直接注射する方法は、薬が患部にしっかり届くため、高い効果が期待できます。
    • かゆみや痛みといった不快な症状の改善にもつながります。
  • 凍結療法
    • 液体窒素(えきたいちっそ)という非常に冷たいガスを使って、傷跡の組織を凍らせて壊し、盛り上がりを平らにしていきます。
    • 主にケロイドの治療に用いられることがあります。
  • レーザー治療(Vビーム・自費治療)
    • 赤みが強い傷跡に対して、特殊な光を当てる治療法です。
    • 傷跡の赤みを薄くしたり、組織の過剰な増殖を抑えたりする目的で使われます。
    • 見た目の改善にもつながることが期待できます。自費治療ではボトックスの効果なども最近では期待されています。
  • 放射線療法
    • 手術で傷跡を取り除いた後に、再発を予防する目的で検討されることがあります。
    • 特定の放射線を当てることで、線維組織(皮膚を作るもとになる組織)の過剰な増殖を抑えることを目指します。
  • 内服薬
    • トラニラスト(商品名:リザベンなど):炎症やかゆみ、痛みを軽減し、ケロイドの増大を抑える目的で使われます。

    • 漢方薬(柴苓湯など):症状や体質に合わせて補助的に使用する場合があります。

これらの治療法は、それぞれ特性が異なります。どの治療法が患者さんにとって最も適切か、また、単独で行うか、複数の方法を組み合わせるかについては、専門医が患者さんの状態を詳しく診察し、丁寧に説明した上で一緒に決めていきます。

ケロイド治療の飲み薬です

当院で提供できる治療法:患者に合わせた最適な選択肢

当院では、患者さん一人ひとりのケロイドや肥厚性瘢痕の状態に合わせた、きめ細やかな治療プランをご提案しています。北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市など、幅広い地域からお越しになる皆さまに、質の高い医療を提供できるよう努めております。

私たちのクリニックで提供している主な治療法は以下のとおりです。

  • ステロイド注射
    • 盛り上がったケロイドや肥厚性瘢痕に直接ステロイドを注入します。
    • 傷跡の炎症を抑え、組織が異常に増えるのを抑制する効果があります。
    • 痛みやかゆみといった、患者さんを悩ませる症状の緩和にもつながります。
  • 内服薬・外用薬
    • ケロイドや肥厚性瘢痕の症状や状態に合わせて、飲み薬や塗り薬を処方します。
    • 体の内側や外側から、治療をサポートしていきます。
  • 圧迫療法
    • シリコンシートを用いて、傷跡を圧迫します。
    • 盛り上がりやひきつれ感を軽減し、傷跡が目立たなくなるよう導きます。

これらの治療法の中から、患者さんの現在の症状、日常生活のスタイル、そして治療へのご希望を丁寧に伺い、最適な選択肢をご提案いたします。特に、ケロイドや肥厚性瘢痕の治療は根気が必要な場合もあります。

ケロイドや円形脱毛症の治療に使う注射薬です

治療期間と費用:保険適用や高額療養費制度について

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療期間は、傷跡の大きさや種類、患者さんの体質、選択する治療法によって大きく異なります。数週間で改善が見られることもあれば、数か月から年単位でじっくりと治療を続ける必要がある場合もあります。大切なのは、焦らず、ゆっくり治療を継続することです。私たちも、患者さんが目標を達成できるよう、長期的な視点でサポートしていきます。

治療にかかる費用については、公的な医療保険が適用される治療と、保険適用外の自由診療があります。

  • 保険適用される治療
    • ステロイド注射や圧迫療法、内服薬の処方など、多くの治療が保険診療の対象となります。
    • 自己負担割合(1割から3割)に応じて費用が変わります。
    • これにより、患者さんの医療費負担を軽減することができます。
  • 自由診療の治療
    • レーザー治療や、より専門的な薬剤の一部などは、保険適用外となる場合があります。
    • 自由診療となる場合は、全額自己負担となります。

当院では、保険診療を主体として治療を行っています。

治療後の再発防止策と予防のヒント

ケロイドは、一度治療しても再発しやすい性質があるため、治療後の再発防止策が非常に重要です。最近の医療論文でも、ケロイドは手術による切除を含め、さまざまな治療後にも再発する傾向があり、治療が困難な場合が多いと指摘されています。そのため、治療が完了した後も、油断せずに継続的なケアと予防を心がけることが大切です。患者さんご自身でもできる予防策を知り、実践することで、再発のリスクを減らすことができます。

再発を防ぎ、新たな傷跡がケロイドや肥厚性瘢痕にならないようにするためのヒントをいくつかご紹介します。

  • 圧迫療法・シリコンシートの継続
    • 治療後も、医師の指示に従い、シリコンシートや専用のサポーター、テープなどで傷跡を圧迫し続けることが、再発予防にとても有効です。
    • 傷跡に物理的な圧力を加え続けることで、過剰な組織の増殖を抑えます。
  • 紫外線対策
    • 傷跡に紫外線が当たると、色素沈着(色が濃くなること)や炎症が起こりやすくなることがあります。
    • 日焼け止めクリームや、つばの広い帽子、長袖の衣類などで、傷跡をしっかりと保護しましょう。
    • 特に治療後のデリケートな肌は、紫外線から守ることが大切です。
  • 傷への刺激を避ける
    • 摩擦や引っ掻き、擦れるような刺激は、傷跡を悪化させる原因となります。
    • きつい衣服やアクセサリーは、傷跡に不要な刺激を与えないよう避けるのが望ましいです。
    • 清潔な状態を保ち、不用意に触らないようにしましょう。
  • 新しい傷を作らない工夫
    • カミソリ負け、虫刺され、ピアス穴の開け方など、日常生活で傷ができる機会は意外と多くあります。
    • できるだけ傷を作らないように心がけ、もし傷ができてしまったら、すぐに適切なケアをして炎症を抑えることが大切です。
    • 傷ができた際には、放置せず、早めに適切な処置をすることが重要です。
  • 早期の受診
    • もし新しい傷跡が少しでも盛り上がってきたと感じたら、迷わずすぐに医療機関を受診してください。
    • 早期に対応することで、重症化を防ぎ、治療の選択肢も広がります。
    • 「ちょっとおかしいな」と感じたときに、すぐに相談することが、より良い結果につながります。

これらの予防策を日々の生活に取り入れることで、ケロイドや肥厚性瘢痕の再発リスクを減らし、美しい肌を保つことにつながります。患者さんご自身の努力と専門医のサポートで、快適な毎日を取り戻しましょう。

専門医による定期的な経過観察の重要性

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療は、一度で完了するものではなく、継続的な経過観察が非常に重要です。治療が終わった後も、定期的に専門医の診察を受けることで、再発の兆候を早期に発見したり、治療効果を正確に評価したりすることができます。これは、患者さんの長期的な健康とQOL(生活の質)を守る上で、欠かせないプロセスです。

定期的に診察を受けることには、次のような大切な意味があります。

  • 再発の早期発見
    • ケロイドは再発しやすい特徴があるため、注意深く経過を見守る必要があります。
    • 定期的に診察を受けることで、ご自身では気づきにくい小さな変化や再発の初期症状を、医師が迅速に見つけることができます。
    • 早期に治療を再開することで、重症化を防ぎ、より簡単で効果的に治療を進める可能性が高まります。
  • 治療効果の確認と調整
    • 立てた治療計画が効果的に進んでいるか、あるいは調整が必要かを評価するために、経過観察は欠かせません。
    • 治療による副作用がないか、皮膚の状態はどのように変化しているかなど、詳しく確認します。
    • 患者さんの状態に合わせて、柔軟に治療法を見直すことができます。
  • 生活習慣のアドバイス
    • 傷跡の状態や患者さんのライフスタイルに合わせて、日常生活での注意点や、より効果的なセルフケアの方法について、専門医から具体的なアドバイスを受けることができます。
    • 患者さん一人ひとりに合った予防策やケア方法を一緒に考えることで、再発のリスクをさらに減らすことができます。

当院では、患者さんが安心して治療を続けられるよう、治療計画から経過観察までを一貫してサポートいたします。ケロイドや肥厚性瘢痕でお悩みの際は、一人で抱え込まず、どうぞお気軽に当院へご相談ください。私たちと一緒に、前向きに治療に取り組んでいきましょう。

まとめ

ケロイドと肥厚性瘢痕は、見た目が似ていてもその性質や治療法は大きく異なります。ご自身の傷跡がどちらなのかを正しく理解し、適切なケアや治療を選ぶことがとても大切です。痛みやかゆみ、ひきつれなど、不快な症状に悩まれていても、決して一人で抱え込まず、専門医と一緒に治療と向き合うことで症状を改善し、快適な生活を取り戻すことは十分に可能です。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案し、長期的な視点でサポートいたします。もし気になる傷跡があれば、どうぞお気軽にご相談ください。早期の対応が、より良い結果へとつながりますよ。

ケロイド・肥厚性瘢痕に関するQ&A

Q. ケロイドは完治しますか?

ケロイドは再発しやすい難治性の疾患ですが、適切な治療を根気よく継続することで、症状を大幅に改善し、目立たなくすることが可能です。痛みやかゆみなどの不快な症状の軽減は特に期待できます。治療は長期にわたることが多いため、担当医と二人三脚で治療に取り組むことが重要です。

Q. 自分でできるケアや注意点はありますか?

患部を安静に保つことが非常に大切です。

  1. 刺激・摩擦を避ける:衣類などによる摩擦や、患部を掻いたりこすったりする行為は、炎症を悪化させ、ケロイドの増大につながります。

  2. 紫外線を避ける:色素沈着や炎症の原因となるため、日焼け止めや衣類で保護しましょう。

  3. 圧迫する:シリコーンテープなどで患部を保護・圧迫するなどの方法もあります。

Q. 肥厚性瘢痕は放っておいても治りますか?

肥厚性瘢痕は、多くの場合、数ヶ月から数年かけて自然に平らになり、色も目立たなくなっていきます。しかし、症状が強かったり、なかなか改善しない場合は、ケロイドと同様に治療を行うことで、より早く、治すことができます。ケロイドとの鑑別も重要ですので、自己判断せず、一度専門医にご相談ください。

参考文献

  1. Luo PM, Glass Ii DA 2nd. Keloid management: a review of treatment modalities. Italian journal of dermatology and venereology 160, no. 1 (2025): 29-39.

追加情報

[title]: Keloid management: a review of treatment modalities.

ケロイド治療:治療法のレビュー 【要約】

  • ケロイドは皮膚の創傷治癒における異常な線維増殖反応であり、元の皮膚損傷を超えて拡大する瘢痕組織を形成する。
  • ケロイドは、切除後を含む様々な治療後にも再発する傾向があるため、治療が困難な場合が多い。
  • 多様な治療法が存在し、単剤療法または手術的切除や他の治療法との併用が可能である。
  • 本レビューでは、手術的切除、圧迫療法、シリコンシート、ステロイド含有テープ、イミキモド、病巣内注射、凍結療法、レーザー、放射線療法、ペントキシフィリン、デュピルマブなど、多くの治療アプローチについて概説している。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39560337

[quote_source]: Luo PM and Glass Ii DA 2nd. “Keloid management: a review of treatment modalities.” Italian journal of dermatology and venereology 160, no. 1 (2025): 29-39.

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SUPERVISOR
監修者情報
岩倉きぼうクリニック院長
松原 章宏
院長 松原章宏
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