岩倉きぼうクリニック

アトピー性皮膚炎

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院長からアトピー性皮膚炎でお悩みの方へ

アレルギー専門医が提供する、最新のアトピー性皮膚炎治療
当院では、皮膚科専門医としての専門知識に加え、日本アレルギー学会専門医の資格を持つ院長が、多角的な視点からアトピー性皮膚炎を診断・治療します。かゆみや湿疹といった皮膚の症状だけでなく、生活環境も考慮し、患者様一人ひとりに最適なオーダーメイドの治療プランをご提案します。

アトピーの治療というと、「ステロイドは怖い」「ずっと塗り続けないと治らない?」アトピー治療の不安にお答えします
「アトピーの治療=ステロイド」というイメージから、強い薬への抵抗感や不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アトピー性皮膚炎の治療は大きく進歩しており、ステロイド以外の新しい塗り薬や、注射薬も登場しています。これらの選択肢を適切に組み合わせることで、一人ひとりの症状に合った治療が可能です。

適切な強さのステロイドを塗っているか、適切な塗り方でぬれているか、そこから治療を一緒に組み立てていきましょう。
岩倉市のみに限らず、北名古屋、小牧、江南、一宮市周辺の、アトピー性皮膚炎で悩まれている方のお力になれれば嬉しいです。

アトピー性皮膚炎で体をかく女性

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎の定義と特徴

アトピー性皮膚炎は、増悪と軽快を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くは 「アトピー素因」を持つ*とされています。
アトピー素因とは、①家族にぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎にかかったことがあるか患者様自身がいずれか、あるいは複数にかかったことがある。もしくは ② IgE抗体ができやすいことをいいます。

主な症状

繰り返す強いかゆみと湿疹、本当につらい毎日をお過ごしのことと思います。

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみを伴う湿疹が特徴の皮膚疾患です。この「良くなったり悪くなったり」というのが、患者さんの心を疲弊させる大きな要因です。

その背景には、皮膚のバリア機能の低下と、それによって引き起こされる持続的な炎症という悪循環があります。主な症状は以下の通りです。

  • 皮膚の赤み(紅斑)
  • 赤いブツブツ(丘疹)
  • じくじくとした浸出液
  • 皮膚がむける(落屑)
  • 皮膚が硬くゴワゴワになる(苔癬化:たいせんか)

これらの症状は、顔、首、ひじの内側やひざの裏側など、体の左右対称に出やすい傾向があります。

治療の目標は、単に症状を抑えることだけではありません。最終的には「症状がないか、あっても日常生活に支障がなく、薬の使用も最小限で済む状態」に到達し、それを維持することです。

アトピー性皮膚炎の原因

皮膚の「バリア機能」が低下し、炎症や乾燥によって皮膚に刺激が入りやすくなることが原因で起こります。
遺伝として、ご家族に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎をおもちの方が多いです。

年齢で変わる症状の特徴(乳児期・小児期・成人期)

アトピー性皮膚炎の症状は、年齢によって現れやすい部位や湿疹の状態が変化します。ご自身の症状がどの段階にあるかを知ることは、適切なケアを選択する上で非常に重要です。

年齢層 主な症状が現れる部位 湿疹の特徴
乳児期 (生後2〜3ヶ月〜)
幼小児期 (2歳〜12歳頃)
思春期・成人期 (13歳〜)

一般的に、乳児では2ヶ月以上、幼児期以降では6ヶ月以上症状が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。

どの年代でも共通するのは、耐えがたい「かゆみ」です。掻き壊してしまうと、皮膚のバリア機能がさらに破壊され、外部からの刺激やアレルゲンが侵入しやすくなり、炎症が悪化するという悪循環に陥ります。年齢ごとの特徴を理解し、その時期に合った治療とスキンケアを行うことが、この悪循環を断ち切る鍵となります。

アトピー性皮膚炎の年齢別の症状分布図

アトピー性皮膚炎とアレルギーマーチ:幼少期のスキンケアが将来を守る

アトピー性皮膚炎は、単なる皮膚の病気ではありません。乳幼児期のアトピーが治った後、食物アレルギー喘息アレルギー性鼻炎へと次々に病気が進行していく現象を「アレルギーマーチ」と呼び、近年注目されています。アトピー性皮膚炎の治療は、このアレルギーマーチを防ぐための第一歩だと考えられています。

当院では、このアレルギーマーチを防ぐための早期治療と予防に力を入れています。

アトピーのアレルギーマーチについて

経皮感作(けいひかんさ)と経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)

アレルギーマーチが起こる原因の一つに、「経皮感作」が挙げられます。
健康な皮膚は外からの異物をブロックする「バリア機能」を持っていますが、アトピー性皮膚炎の肌はこのバリアが壊れています。そのため、食べ物の成分やダニなどのアレルゲンが、皮膚の傷口から体内に侵入し、アレルギー反応を引き起こす原因となってしまうのです。

一方で、アレルゲンを口から食べることで、体はそれらを異物として認識せず、アレルギー反応を起こしにくくなる「経口免疫寛容」が働くことが分かっています。

つまり、荒れた皮膚からアレルゲンが侵入する「経皮感作」を防ぎ、口から安全にアレルゲンを取り入れる「経口免疫寛容」を促すことが、アレルギーマーチを防ぐ鍵となります。
離乳食を早期に開始するとよいのもこの理由のためです。

赤ちゃんの保湿剤でアトピー性皮膚炎は予防できる?

赤ちゃんの保湿剤使用によるアトピー性皮膚炎の予防効果については、近年多くの研究が行われています。結論から申し上げると、生後すぐに適切な方法で保湿ケアを開始することは、アトピー発症リスクを低下させる効果が期待できる可能性がありますが、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎ガイドライン2024では、「現時点では、アトピー性皮膚炎の発症予防に新生児期からの保湿剤外用は一概にはすすめられない」となっています。(2025年現在)

これらの議論は、2014年に国立成育医療研究センターなどによる複数の大規模臨床試験では、生後間もない時期から保湿剤を塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症を減少させるという結果が得られました。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が未熟で、乾燥やアレルゲンの侵入を防げないことから始まります。保湿剤は、この皮膚バリア機能を補強・改善し、外部からの刺激物質(ダニ、花粉など)が体内に入るのを防ぎます。これにより、皮膚内でのアレルギー反応の連鎖を断ち切り、アトピーの発症を防ぐと考えられています。

しかしその後、保湿剤によるアトピー性皮膚炎の予防効果はなかったとする報告や、皮膚感染症が増加するとの報告もみれました。
これらを踏まえ、Cochraneシステマティックレビューでは、生後1年間の保湿剤によるスキンケア介入は、湿疹(アトピー性皮膚炎)のリスクを「おそらく変えない」とされ局所の皮膚感染症のリスクを「増加させる可能性がある」と、保湿剤の予防効果については「否定的」な見解が示されています。

これらの変遷を踏まえ、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎ガイドラインでは、
2018年 「出生直後から保湿外用剤によるスキンケアを行うことは、アトピー性皮膚炎の発症リスクを下げる」
2021年・2024年 「現時点においてアトピー性皮膚炎の発症予防に新生児からの保湿剤外用は一概にはすすめられない」

と変化してきています。
保湿剤のアトピー性皮膚炎への予防効果については、議論があるところですが、皮膚バリア機能を健康に保つことは重要です。

当院では、一人ひとりの赤ちゃんの皮膚の状態をみて、保湿剤に固執せず、ステロイド剤や非ステロイド剤も用いることで、
皮膚のバリア機能を健康に保つことで、アトピー性皮膚炎や将来のアレルギーマーチへの発展を予防できるのではないかと考え、治療を行っています。

治療の基本となる3本柱(薬物療法・スキンケア・悪化因子の対策)

アトピー性皮膚炎の症状をコントロールするためには、以下の3つの治療をバランスよく行うことが不可欠です。これらは治療の「3本柱」と呼ばれ、どれか一つが欠けても十分な効果は得られません。

  1. 薬物療法 皮膚で起きている炎症という「火事」を、速やかに、そして確実に鎮めるための治療です。炎症を放置すると、かゆみが強まり、皮膚のバリア機能もさらに低下します。治療の基本はステロイド外用薬や免疫抑制外用薬ですが、症状に応じて内服薬や注射薬も用います。まずは薬物療法で炎症をしっかり消し止めることが、その後の良好な状態を維持するための第一歩です。
  2. スキンケア(保湿・洗浄) アトピー性皮膚炎の皮膚は、バリア機能が低下して乾燥しやすく、外部からの刺激に非常に弱い状態です。毎日の保湿ケアで皮膚にうるおいを与え、バリア機能を補うことが欠かせません。また、皮膚を清潔に保つ洗浄も重要です。汗や汚れ、細菌は症状を悪化させるため、よく泡立てた洗浄料で優しく洗い、保湿剤を塗りましょう。
  3. 悪化因子の検索と対策 症状を悪化させる原因は人それぞれ異なります。ご自身にとっての悪化因子を見つけ、可能な限り避けることで、症状の安定につながります。
    • アレルゲン: ダニ、ホコリ、花粉、ペットの毛、カビなど
    • 刺激物: 汗、唾液、髪の毛の接触、衣類の摩擦、化学繊維、化粧品など
    • その他: ストレス、睡眠不足、不規則な生活、風邪などの感染症

これら3つの柱を、車の両輪のように連動させながら根気よく続けることが、アトピー性皮膚炎と上手に付き合っていくための最も重要なポイントです。

ステロイドだけじゃない?治療薬の選択肢と全体像

「アトピーの薬=ステロイド」というイメージから、副作用を心配される方も少なくありません。しかし現在、アトピー性皮膚炎の治療薬は大きく進歩し、選択肢は格段に増えています。

治療はまず、基本となる外用薬(塗り薬)から始め、症状の重症度に応じて内服薬(飲み薬)や注射薬を組み合わせていきます。

  • 外用薬(塗り薬)
    • ステロイド外用薬 炎症を抑える効果が最も高く、治療の基本となる薬です。強さに5段階のランクがあり、症状の程度や塗る部位によって適切に使い分けます。
    • 非ステロイド外用薬 免疫の働きを調整するタクロリムス軟膏(プロトピック®)や、炎症に関わる細胞内の情報伝達を抑えるJAK阻害薬のデルゴシチニブ軟膏(コレクチム®)などがあります。顔や首など、皮膚の薄い部位にも使いやすいのが特徴です。
  • 内服薬(飲み薬)
    • 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬 かゆみを和らげるために補助的に使われます。
    • JAK阻害薬 炎症やかゆみを引き起こす「ヤヌスキナーゼ(JAK)」という酵素の働きをブロックする新しいタイプの薬です。中等症から重症の患者さんに高い効果が期待できます。
    • その他 症状が非常に強い場合に、経口ステロイドや免疫抑制薬(シクロスポリン)を短期間使用することがあります。
  • 注射薬(生物学的製剤) デュピルマブ(デュピクセント®)など、アトピー性皮膚炎の炎症の根本原因となる物質(サイトカイン)の働きをピンポイントで抑える薬です。これまでの治療で効果が不十分だった中等症から重症の患者さんの新たな選択肢となっています。

近年、治療法は着実に進歩しています。特に、従来の治療では改善が難しかった重症・難治性の小児の患者さんに対し、注射薬(デュピルマブ)と新しいタイプの飲み薬(JAK阻害薬のアブロシチニブ)を組み合わせることで、症状が大きく改善したという報告もあり、治療の選択肢は広がり続けています。

ステロイド外用薬の強さランクと部位別の正しい使い方

ステロイド外用薬は、皮膚の炎症という「火事」を鎮める最も基本的で強力な治療薬です。 赤み、かゆみ、腫れを速やかに抑える効果が期待できます。 この薬は効果の強さに応じて5段階のランクに分類され、症状や部位で使い分けます。皮膚科医は、下記の表を基準として覚え、年齢・症状の強さ・生活スタイルなどを鑑みて使用するステロイド外用薬を選択しています。

ランク 強さ 主な使用部位の例
1. Strongest
2. Very Strong
3. Strong
4. Medium
5. Weak

なぜ部位によって強さを変える必要があるのでしょうか。 それは、部位によって皮膚の厚さが異なり、薬の吸収率が大きく違うからです。 例えば、腕の内側を1とした場合、頬は約13倍、陰部は約42倍も薬を吸収しやすいとされます。 そのため、弱いランクの薬でも顔では十分な効果が得られます。

塗る量の目安は「フィンガーチップユニット(FTU)」を基準にします。 チューブの口径が5mmの場合、人差し指の第一関節まで出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積に塗るのが適量です。 量が少なすぎると効果は不十分になり、自己判断で中断すると炎症の火種が残り、すぐに再発(再燃)しやすくなります。 医師の指示通り、症状が改善してからも継続することが重要です。

非ステロイド外用薬(プロトピック・コレクチム・モイゼルト・ブイタマー)の特徴と注意点

顔や首などデリケートな部位への長期使用や、ステロイドへの抵抗感がある方には、ステロイドを含まない非ステロイド外用薬が適しています。 それぞれ異なる仕組みで炎症を抑えます。

  • 免疫抑制外用薬(プロトピック軟膏®など)
    • 免疫細胞の過剰な働きにブレーキをかけることで炎症を鎮めます。ステロイドのような皮膚が薄くなる副作用が起こりにくく、顔や首の治療に適しています。塗り始めにヒリヒリとした刺激を感じることがありますが、皮膚の状態が改善するにつれ数日で治まることがほとんどです。
  • JAK阻害外用薬(コレクチム軟膏®)→コレクチム軟膏の詳しい説明はこちら
    • 細胞の中で炎症やかゆみの情報を伝達する「ヤヌスキナーゼ(JAK)」という酵素の働きをブロックします。刺激感が少なく、お子様(生後6ヶ月以上)にも使いやすいのが特徴です。
  • PDE4阻害外用薬(モイゼルト軟膏®)→モイゼルト軟膏の詳しい説明はこちら
    • 炎症を引き起こす物質が作られるのを防ぐ「PDE4」という酵素の働きを抑えます。比較的新しいタイプの塗り薬です。安全性が高く、生後3か月から使用可能です。
  • AhR作動薬(ブイタマー軟膏®)→ブイタマークリームの詳しい説明はこちら
    • 皮膚の細胞にある「芳香族炭化水素受容体(AhR)」を活性化させ、炎症を抑えつつ、皮膚のバリ ア機能を正常に整えるという新しい仕組みの薬です。12歳以上から使用可能です。

これらの薬は、症状が良くなった後も週に2〜3回塗ることで、再発を予防する「プロアクティブ療法」にも用いられます。

タクロリムス軟膏
コレクチム軟膏
モイゼルト軟膏
ブイタマークリーム

内服薬(JAK阻害薬・抗ヒスタミン薬・シクロスポリン)のかゆみを抑える仕組み

  • JAK阻害薬(オルミエント®、リンヴォック®、サイバインコ®)
    • 近年登場した新しい薬で、炎症やかゆみを引き起こす情報伝達物質「サイトカイン」の働きを細胞の内側から強力にブロックします。効果の発現が比較的速く、これまで抑えるのが難しかった強いかゆみを短期間で改善させる効果が期待できます。薬剤が高価である点と、副作用がおこることがため、定期的な採血が必要です。必要と判断した場合には、提携している総合病院へ紹介します。
  • 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬
    • かゆみの原因物質である「ヒスタミン」の働きを抑え、かゆみを和らげます。あくまで対症療法であり、皮膚の炎症自体を治す薬ではありません。夜のかゆみで眠れない場合などに補助的に使われます。
  • 免疫抑制薬(シクロスポリン:ネオーラル®)
    • 免疫全体の働きを強力に抑える薬です。他の治療で効果が見られない重症の患者さんに、炎症を速やかに抑える目的で短期間使用します。腎機能や血圧への影響を確認するため、定期的な血液検査が必要です。ジェネリック薬があるため、JAK阻害薬より、薬剤費が抑えられている点がメリットです。
アトピー性皮膚炎で用いるシクロスポリン

注射薬(デュピクセント・アドトラーザ・イブグリース・ミチーガ)の効果と対象となる方

従来の治療で効果が不十分な中等症から重症の患者さんには、「生物学的製剤」という注射薬が新たな選択肢となります。 アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみの原因物質だけをピンポイントで狙い撃ちするため、高い効果と安全性が期待できます。

  • デュピクセント®
    • 炎症の司令塔となる「IL-4」と「IL-13」という2つのサイトカインの働きを同時にブロックします。皮膚の炎症を抑えるだけでなく、低下したバリア機能の改善効果も報告されています。
  • アドトラーザ®、イブグリース®
    • 「IL-13」の働きを特異的にブロックし、炎症反応を抑制します。
  • ミチーガ®
    • 強いかゆみを引き起こす「IL-31」の働きを直接ブロックします。特にかゆみが非常に強く、生活の質(QOL)を著しく下げている患者さんに有効です。

これらの注射薬は、初回導入後はご自宅での自己注射が可能で、通院負担を軽減できます。 治療費は高額ですが、高額療養費制度などの公的な医療費助成制度が利用できる場合があります。生後6ヶ月から使用可能なデュピクセントをはじめ、当院では4種類の生物学的製剤の処方が可能ですので、まずはご相談ください。

アトピーの注射薬であるイブグリースの写真です。
アトピー治療薬のデュピクセントの写真です。
アトピーの注射薬のミチーガの写真です

光線治療

光線治療は、2,3日かゆみを和らげる働きがあります。
エキシマライトという光線治療を行いかゆみを抑えます。副作用が少ない治療法です。
当院では2台の光線治療器を保有しています。

円形脱毛症の治療に使う光線治療の機械です。セラビームミニ(エキシマライト)という機械です。
円形脱毛症の治療で使う二つ目の機械です。セラビーム(エキシマライト)の機械です。

各治療薬で注意すべき副作用(皮膚萎縮・感染症など)

どの薬にも副作用の可能性はありますが、特徴を正しく理解し、専門医の管理下で使えばリスクを最小限にできます。

治療薬の種類 主な副作用の例
ステロイド外用薬
非ステロイド外用薬
内服薬(JAK阻害薬)
内服薬(シクロスポリン)
注射薬(生物学的製剤)
光線治療

副作用が心配で自己判断で治療をやめてしまうと、症状が悪化し、かえって強い薬が必要になることもあります。 JAK阻害薬や生物学的製剤のように新しい治療薬がどんどん開発されている分野です。

治療がうまくいかないと感じている方も、決して諦めないでください。 当院では、皮膚科専門医が患者さん一人ひとりの症状とライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案します。 岩倉市はもちろん、北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市など近隣にお住まいでアトピー性皮膚炎にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

日々のスキンケアが重要 保湿剤の選び方と正しい入浴法

アトピー性皮膚炎の肌は、角質細胞の間を埋めるセラミドなどの細胞間脂質が減少し、バリア機能が低下しています。そのため、日々のスキンケアが治療の土台となります。特に重要なのが、皮膚を清潔に保つ「洗浄」と、うるおいを補う「保湿」です。

【正しい入浴・シャワーのポイント】

  • 温度設定  38~40℃のぬるめのお湯にしましょう。熱いお湯は、かゆみを引き起こす神経を刺激し、皮膚のうるおいを守る皮脂を過剰に奪ってしまいます。
  • 洗浄方法  石鹸やボディソープは十分に泡立て、ナイロンタオルなどは使わずに手で優しく洗いましょう。ゴシゴシこすると、ただでさえ弱い皮膚のバリアを物理的に壊してしまいます。
  • すすぎ  洗浄成分が肌に残ると刺激になるため、シャワーで丁寧に洗い流してください。特に、髪を洗った後はシャンプーやリンスが首筋や背中に残らないよう注意が必要です。
  • 水分の拭き取り  入浴後は、清潔で柔らかいタオルを使い、こすらずに軽く押さえるようにして水分を拭き取ります。

【保湿剤の選び方と塗り方】 入浴後の肌は水分を多く含んでいますが、同時に急速に乾燥が進みます。角層の水分量が急激に低下し始める前に保湿剤を塗ることが、よいとされています。

症状のある部分だけでなく、乾燥しやすい全身にたっぷりと塗りましょう。

保湿剤の種類 特徴 このような方におすすめです
ヘパリン類似物質
ワセリン
尿素製剤

塗る量の目安は、塗った後にティッシュペーパーが肌に貼りつく程度です。正しいスキンケアを毎日根気よく続けることが、症状の安定と薬を減らすための第一歩です。

アトピー性皮膚炎の状態がわるいときは、ぬるま湯にしましょう

症状を悪化させないための食事と生活習慣の見直し

薬物療法やスキンケアと並行して、日々の生活習慣を見直すこともアトピー性皮膚炎の症状をコントロールする上で非常に大切です。ご自身の悪化因子を知り、できる範囲で対策を行いましょう。

【食事について】 食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の直接的な原因となることは、実は成人の患者さんではそれほど多くありません。自己判断で極端な食事制限を行うと、栄養バランスが偏るだけでなく、大きなストレスにもなり得ます。

食物アレルギーの関与が明らかでない場合の食事制限は、症状の改善にはつながらないことがわかっています。もし特定の食物で症状が悪化すると感じる場合は、必ず医師にご相談ください。基本は、様々な食品をバランスよく摂ることを心がけましょう。

【生活習慣チェックリスト】 ご自身の生活を振り返り、当てはまる項目から見直してみましょう。

  • □ 衣類  肌に直接触れる下着は、刺激の少ない綿素材を選んでいますか。化学繊維やウールのチクチクした素材、縫い目や洗濯表示タグの摩擦も刺激になります。
  • □ 汗の管理  汗に含まれる塩分やアンモニアは、それ自体が刺激物です。汗をかいたら放置せず、こまめに濡れたタオルで拭くか、シャワーで洗い流しましょう。
  • □ 室内環境  ダニの死骸やフン、ハウスダストは代表的な悪化因子です。寝具はこまめに掃除機をかけ、室内は湿度50%前後を目安に保ちましょう。
  • □ 爪のケア  無意識に掻き壊してしまうと、皮膚のバリアがさらに破壊され、炎症が悪化する「イッチ・スクラッチ・サイクル(かゆみと掻破の悪循環)」に陥ります。爪は常に短く切り、やすりで滑らかにしておきましょう。
  • □ ストレス管理  過度なストレスは、脳のかゆみを感じる部分を過敏にし、症状を悪化させることが知られています。自分なりのリラックス法を見つけ、心身の休息を意識することが大切です。
アトピー性皮膚炎の方の服の選び方

【当院の診療方針】

  • 皮膚科専門医による的確な診断  院長はアレルギー専門医も取得しています。皮膚をみて、適格な診断・治療計画をプランニングします。
  • 幅広い治療選択肢の提案  従来の治療法に加え、モイゼルト軟膏やブイタマークリームなどのステロイドではない塗り薬も積極的に提案いたします。デュピクセント®などの生物学的製剤(注射薬)などの新しい治療にも対応しております。
  • 再発予防を見据えた長期的なサポート  症状が改善した後も、再発を防ぐためのプロアクティブ療法など、長期的な視点で良好な状態を維持できるようサポートします。

長年続くつらい症状や、これまでの治療で満足のいく効果が得られなかった方も、どうか諦めないでください。アトピー性皮膚炎の治療は日々進歩しています。一人で悩まず、まずは当院へお気軽にご相談ください。

まとめ

アトピー性皮膚炎治療の基本は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の対策」という3本柱を、車の両輪のようにバランスよく続けることです。治療薬はステロイドだけでなく、新しい作用の飲み薬や注射薬など選択肢が大きく広がり、治療法は日々進歩しています。

当院は、岩倉市にある皮膚科・美容皮膚科クリニックとして、アトピー性皮膚炎に悩む多くの患者さんの診療を行っております。北名古屋市、小牧市、一宮市、江南市など、近隣の地域からもアクセスしやすい立地にございます。

これまでの治療で効果を感じられなかった方も、決して諦める必要はありません。どの治療が最適かは、お一人ひとりの症状やライフスタイルによって異なります。つらいかゆみや湿疹を一人で抱え込まず、まずは皮膚科専門医にご相談ください。あなたに合った治療法を一緒に見つけ、症状のない穏やかな毎日を目指しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q
ステロイドを使うことに不安がありますが大丈夫ですか?
A
アトピー性皮膚炎は皮膚に火事が起きている状態です。ステロイドは火を消すための水に例えられます。まずは火事を消すために適切な強さのステロイドを使用することが大切です。火事が消えたら、ステロイドの塗る頻度を徐々に減らしていくのがよいでしょう。ステロイド以外の塗り薬を併用する方法もあります。
Q
子供でも治療を受けられますか?
A
当院には小児の患者様も多くいらっしゃっており、お子様のアトピー性皮膚炎治療にも力をいれています。

参考文献

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024

・Fong WCG, Kaung HHW, Lopes R, Kanji A, Ravenscroft J, Tang TS, Flohr C. A Case Series of Refractory Pediatric Atopic Dermatitis Effectively Treated With Dupilumab in Combination With Abrocitinib. Pediatric dermatology 42, no. 2 (2025): 358-363.

追加情報

[title]: A Case Series of Refractory Pediatric Atopic Dermatitis Effectively Treated With Dupilumab in Combination With Abrocitinib.

デュピルマブとアブロシチニブ併用療法による難治性小児アトピー性皮膚炎の治療:症例報告 【要約】

  • 重症で従来の全身療法、生物学的製剤単剤療法、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAKi)であるアブロシチニブ単剤療法にも抵抗性のある小児アトピー性皮膚炎(AD)の患者は、現在、治療選択肢が不足しています。
  • この臨床的な問題に対処するために、デュピルマブとアブロシチニブの併用療法によって成功裏に管理された重症で難治性の小児ADの3症例を紹介します。
  • これらの子供たちは、従来の治療法をすべて試した結果、デュピルマブとアブロシチニブの両方で個別治療を受け、さらにデュピルマブとメトトレキセートの併用療法も試していました。
  • しかし、デュピルマブとアブロシチニブの併用療法が導入されたとき初めて、彼らは病気のコントロールにおいて顕著かつ持続的な改善を遂げました。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39363512

[quote_source]: Fong WCG, Kaung HHW, Lopes R, Kanji A, Ravenscroft J, Tang TS and Flohr C. “A Case Series of Refractory Pediatric Atopic Dermatitis Effectively Treated With Dupilumab in Combination With Abrocitinib.” Pediatric dermatology 42, no. 2 (2025): 358-363.

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SUPERVISOR
監修者情報
岩倉きぼうクリニック院長
松原 章宏
院長 松原章宏
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